そして、世界は静かになった。
朝が来た。
静かに檻を開ける音がして、そこに居たのはローザの両親だった。
何かを言いかけた両親を、静かに手で止めて首を振る。
それだけで何かを察したかのように、ただ父と母は私の事を抱きしめた。
静かに抱きしめ返して、微笑めば
手をとられてどこかへと案内される。
私はもう、それを知っていたかのようにただ、当然のような顔をしてそれに従う。
地下牢の階段を登ると、乾いた空気が頬を撫でた。
ああ、この空気知ってるやつだ。
軽く笑い声が漏れて。
でも、引かれる手のままに歩を進める。一瞬だけ花の咲き乱れる庭に目が向いたけど、ただ綺麗だな、と思って前を向いた。
父は静かに嘆息し、ほんの少し微笑みながら歩き続け、母はそっと背中を支えながら暖かく寄り添っている。
通されたのは豪華なバスルームだった。
侍女たちに促されるままに服を脱ぎバスルームに横たわる。薔薇の香りがむせ返る様。
丁寧に施される侍女達の手つきにも感嘆の溜息を落とすだけで私は何も語らない。
豪華なドレスに身を包まれ、促されるままにいくつかのドアを潜る。
再び最後のドアが開くと
そこは見慣れた断頭台だった。
群衆はもう騒がない。
ただ、静かに頭を垂れている。
誰もいない玉座が断頭台の代わりに処刑台の上に置かれている。
静かに頷く聖女を見て、私は階段をのぼった。
誰もいない玉座に座る。
そこからの景色を眺めて
満足して----
私はただ、ニンマリと笑った。
そして世界はようやく静かになった。




