次は王様が喋るらしい
おかしい。
くら、としたと思ったらまた最初の立ち位置に立っていた。
観客は相変わらず煩く騒いでいる。
裁判官は相変わらず長ったらしい罪状説明を行なっている。
………考えることを一旦放棄して、周囲を見渡す。
最初は気が付かなかったが、処刑台がよく見える席に
なんか王様みたいな人と
なんだかやたら整った顔の男と、その横に寄り添いながら
こちらを涙目で見つめる美しい女性がいる。
…………ただ見てるだけなら眼福なんだけどねえ。
ローザとやらが実際に何をやらかしたのかもどうでもよくて。
ただ、こんな茶番に「私」を引き摺り込んだ苛立ちだけがつのる。
はぁ………と嘆息混じりに豪華な観客席を見回して
口の端だけでハッと笑う。
崇高な御趣味ですこと。
人の生死をエンターテイメントにするなんて。
笑止。
どんな罪人でもその死の瞬間だけは尊ばれるべきだ。
この体の持ち主がどうかは知らないし興味も無いが
「私」はただの善良な一市民だと言うのに。
観客席全体を眺めて、冷めた目でニヤついている私を見て
処刑人はオロオロと手を彷徨わせている。
お前はちゃんと仕事しろ。
イラァ、として。
頭を掻きむしりたかったけど、それも許されないから
力の限り床をダァン!!!!!
と踏みつけた。
再び、ビクゥ!!!!と処刑人が怯えた。
お前が怯えてどうすんだよ!!!!!
怯えたいのはこっちだわ!!!!
何かをやらかしたらしいローザの体自体にも苛立って
ああああああああ!!!!!!!!!!
と口汚く罵りながら
ダン!!
ダンッ!!!!
ダンッッ!!!!!!!!
と床を踏み鳴らす。
王様が何かをヒソヒソと侍従に伝えるのを横目に見て
思わず叫んだ。
「いいご身分だなぁ!?
自分の手を汚さずに人を葬るのってそんなにたのしーぃ???」
ははっ!!!!っと笑いながら叫ぶと、王様の目が明らかに憂いと慈愛を帯びた。
イラ。
スタスタ、処刑台の端まで歩いて行こうとして
流石に警備兵と処刑人にはがいじめにされた。
力の限りそれに抗って、猿轡をはめられる直前に叫んだ。
「お前が!!!!そんな顔していい権利なんかどこにもねぇんだよ!!!!!このxxxxがっ!!!!!」
そこまで叫んだ所で鼻に何か布が当てられて
クラ、と意識が飛んだ。
クソッタレが!!!!!




