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今考えてるから静かにしてほしい

耳に、熱狂する群衆たちの声が響いた。


目を開けるのも面倒で、目を閉じたまま嘆息する。


またここ。

この空気。


さっきはどうでも良いと思っていた裁判官の話に耳を傾ける。


曰く、私…ローザは王子の婚約者だったらしい。

ローザは王子を深く愛していた。

愛するが故に、王子の行動を制限し始めた。

当然ながら生まれる溝。

そんな中、王子は聖女と出会い

真の愛とやらに目覚めてしまったとかなんとか。


はぁ。

そうですか。


こういう時、なんか過去の思い出とか思いとか

そういうのって溢れてきたりするもんなんじゃないの??


そう思った瞬間に、

幼少期に出会った王子との思い出や

見目麗しく、性格も良い聖女とのエピソードの数々が

脳裏によぎった。


………はぁ。


そもそもだ。

そもそも、他人の行動を本人以外の他者が誘導しようとすることから間違ってる。

他人は他人。

それぞれに思考する頭がついているんだから

それを自分の思い通りに制御しようとすることがもうおこがましい。


若いっていいわね。

突っ走れるだけの体力と無謀さがあって。

それよりその親的なやつらは何をしてたのか。

立場がある家同士の契約ともなればそこに関してなんらかのメリットやデメリットもありそうなものなのに。


思考は止まらない。


群衆は相変わらず賑やかだ。

なんか泣いてるやつや笑ってるやつもいる。


半分以上自分の思考の海に浸りながら波のようにさざめく

そいつらの出す音を聞いていたらイライラしてきた。


………?

そもそもなんでこいつらこんなに集まってきてるんだ?

なんなの?暇なの?

娯楽とか無いの??

無いのか。そうだよな、無いから成立してるんだもんな、公開処刑制度。


処刑人が今度は静かに近寄ってきた。

群衆の声が一段と大きくなる。

ああああああ。思考が中断される。


イライライライライライラ。


処刑人の腕が私に触れた。



瞬間。



「あーもー………


うるっっっさい!!!!!!!!」



思いの外大きい声が出た。

処刑人の大きくて威圧感のある体が

ビクゥ!!!!と跳ねた。


あ。なんかちょっと泣きそう。


それが面白くて、思わず笑ったら

群衆が一気に静まり返った。


「……今、考えてんだから。静かにしてよ。」


泣きそうにプルプル震えてる処刑人を見もせずに

はぁ、と溜息混じりに呟くと


ざわ…………と群衆がまた騒めき始める。


思考の海からふと意識を浮上させると

明らかに騒めきの質が異なることに気がつく。


…………?

戸惑ってる?


そう思って、何かを言おうとしたその時。




ぶつん。




世界が途切れるように


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