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6-21話 世界樹のペンダント盗難事件(解決編②)

 混乱するエルウッドに、(テル)が丁寧に説明する。


「確かに掟の事を知っていたのなら、ドドンゴさんがペンダントを処分して、エルウッド君を追い出そうとしたという動機は成り立つかもしれません。ただ、その手段として火の中にペンダントをくべるというのは、ドドンゴさんの場合はあり得ません。だって……ドドンゴさんは、世界樹が燃えないことを知っていたんですから」

「なっ! それは……」


 エルウッドが戸惑いの声を上げる。

 そこに加わって来たのはフォレスティーナだ。


「ドドンゴがそれを知っていたとすると……つまりペンダントの鑑定結果には、女神がモチーフである事や里の掟の他に、世界樹が燃えない事も載っていたって事ね?」

「いいえ、ペンダントの鑑定ではそこまで分かりませんでした。でも、ドドンゴさんには別の鑑定結果から、その事を知る機会はあったはず。それは……」


 (テル)はフォレスティーナが背負っているある物(・・・)を指さして答える。


「それは、フォレスティーナさんの弓です」

「私の弓?」


 驚くフォレスティーナに(テル)が続けて語る。


「フォレスティーナさんの弓も世界樹の枝から作られていましたね。そしてその鑑定結果には、世界樹が燃えない事が書かれていました。この弓の鑑定結果を、ドドンゴさんも見ているはずです。フォレスティーナさんも『ドドンゴさんがこの弓の装飾を褒めていた』と言ってましたし(※1-18話参照)ボクの持っていた[光の属性剣]にあれだけ興味を惹かれるくらいのマニアですからね。鑑定したことが無いなんて考えられない」


 (テル)の指摘に、フォレスティーナは「ああ……」と納得の声を上げた。


「……なるほど、それは確かに。ドドンゴなら鑑定してるでしょうね」

「弓の鑑定をしていたのなら、世界樹が燃えない事を知っていたはず。なのでもしドドンゴさんが犯人の場合、ペンダントを燃やそうとはせず、処分するのに他の手段を考えたはずです。例えばその窓から外に捨ててしまうとか? 宿屋の裏手の川に投げ込んでしまえば流されて回収することはできなかったでしょう。でもそうはしなかった、何故か? 理由は犯人が燃えない事を知らなかったか、ペンダントを処分する気がなくただの悪戯のようなものだったか、そのどちらかでしょう」


「――悪戯! そう、それだよ!」


 その言葉を聞きつけたエルウッドが喜色を表す。


「俺を追い出そうとまではしないにしても、嫌がらせでペンダントを隠したんだとしたら?それならドドンゴにも動機ができるじゃないか!」

「いや、それも考えづらいです」


 だが(テル)がそれを即座に否定した。


「ただの悪戯や嫌がらせなら、別にペンダントを選ぶ必要はありません。エルウッドさんの部屋を見たとき、机の上には鞄や財布、魔法の杖など、失くしたら困りそうなものが他にもたくさんありました。なのに犯人はそれらに目もくれず、引き出しにしまってあったペンダントを盗み出している」

「そ、それは別にあり得ないことじゃないだろ?」

「そうですか? 簡単に盗み出せて嫌がらせにもなるであろう物が他にあるのに、わざわざ引き出しの鍵を壊してまでペンダントを持ち出している。それもエルウッド君がいつ帰って来るかもわからない、時間に追われた状況で、ですよ?」

「だ、だからそれも絶対に無いわけじゃないだろ!?」

「まぁ与えられた根拠から推論を述べているだけなので、可能性だけを言えば色々と考えられるでしょうね。ひょっとしたら犯人に『どうしてもペンダントを使って嫌がらせをしたかっただけ』なんて身も蓋もない動機があった場合も考えられる。だけど状況から考えると、やはりこれは悪戯目的などではなく、『明確な意思と目的を持ってペンダントを盗み出した』という可能性が一番高いように思えますね」

「そ、それは……じ、じゃあ、いったい誰が……」


 戸惑うエルウッドに(テル)が答える。


「どうしてもペンダントでなければいけない理由を考えた場合、『エルウッド君をパーティから追い出す』というという動機が一番妥当に思えますね。そしてその目的を達成する手段として『ペンダントを暖炉で燃やそうとした』。つまりボクの推論だとこの『動機』と『手段』を持っているというのが今回の犯人像になります」

「……」

「これにドドンゴさんを当て嵌めた場合、『動機』はあっても『手段』がおかしいと感じます。では他の人はどうでしょうか?」

「他の人って……?」

「冒険者の皆さんの人間関係まではボクには分からないので、『動機』については推論も語れません。なのでここは『手段』に絞って考えてみましょう」


 ここで(テル)は、他の冒険者パーティのメンバーに目をやる。


「まずはフォレスティーナさん」

「っと、なにかしら?」


 いきなり名指しされ、少し狼狽えながらも応えるフォレスティーナ。


「フォレスティーナさん、貴方は世界樹が燃えないことを知っていましたね?」

「え、ええまぁそりゃね。世界樹について、エルフなら知らない者はいないわ」

「だったらペンダントを燃やそうと、炉の火にくべるわけがありませんね。これでフォレスティーナさんは容疑者から外れます」

「……まぁ当然ね」


 安堵した表情を見せるフォレスティーナ。

 続いて(テル)は猫獣人の少女ミミーナへと向き直る。

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