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6-20話 世界樹のペンダント盗難事件(解決編①)

 冒険者パーティの四人に、(テル)剣人(ケント)(ミオ)、それと数名の従業員。

 関係者が揃った二階のラウンジで――。


「それで……何が分かったの?」


 (ミオ)(テル)に尋ねてくる。


「もしかしてもう犯人が分かったとか?」


「いえ、その前に確かめたいことがあります。ボクの仮説が正しいかどうかを確かめるために、先にペンダントの在処を探しましょう」


 (テル)の言葉に、ザワッと驚く一同。


「ペンダントが何処にあるか分かったの? いったい何処に?」


 (ミオ)の疑問に、(テル)が答える。


「まず前提として、容疑者である冒険者の皆さんは、事件発覚時に全員この宿屋の中にいました。だとしたらペンダントを宿の外へ運び出すチャンスはなかったはずです。ですが従業員の皆さんがこれだけ探しても出て来ない。それは何故か?」

「それなら窓から捨てたんじゃないかって仮説が出てたよね?」

「その可能性はありますね。ただ他に、誰にもバレずに隠して置ける場所があると気付いたんです。探してくれた従業員も絶対に見逃す場所があるって」

「絶対に見逃す場所? それって……?」


 (ミオ)の疑問に答えるように動き出す(テル)

 彼が向かったのはラウンジの壁に設置された薪ストーブだ。

 (テル)は傍にあった火ばさみを持つと、炉の扉を開け燃えている薪の中に突っ込み、中をガサガサとかき回す。


「あっ、あった!」


 そうして(テル)が燃え盛る火の中から火ばさみを引き抜く。

 その先にはオリンピックのメダル程度の大きさの木の塊が挟まれていた。

 ストーブから出てきたそれには、おそらく人の姿をモチーフにした木像のようだ。

 おそらく――という副詞がつくのは、そのデザインがキュビズムを彷彿とさせる奇抜なものだったから。

 その木像には丸い金具が付いており、本来はこの金具に紐を通してペンダントにするのだろう。

 だが紐の部分は燃えてしまっているようで見当たらない。

 (テル)が[探偵の鑑定眼]を使ってみると――


====================

[世界樹のペンダント(トップ部分のみ)]

 女神を模したデザインのペンダントで、素材は世界樹の木。

 リレイリというエルフの村で作られ、この村のエルフは外に出る際はこれを身に着けていなければならないと掟で決められている。

 わずかではあるが世界樹の加護を持ち、厄災を退けてくれる効果がある。

 効果:幸運値+1

====================


(やっぱり……これで決まりだね)


 鑑定結果を見た(テル)は、自分の推理に間違いがないことを確信した。


「ああっ! 俺のペンダント!」


 エルウッドは思わずペンダントを指さしてそう叫んだ。

 そしてペンダントを炉から取り出す様子を見ていたミミーナが疑問を呈する。


「な、何でそんなところにペンダントがあるニャ? 何で燃えてないニャよ?」

「燃えてないのは素材が世界樹だからでしょう。世界樹は普通の火じゃ燃えないのよ」


 フォレスティーナがそう答え、さらに一人で納得する。


「だけど確かに、普通の人間はそんな事を知るはずもないから、まさか木のペンダントが暖炉で燃えずに残っているとは考えなかったのでしょう。探したとしても燃え残りがあるかどうか覗くくらいで、火の中まで探そうとは思わなかったという事ね」

「ニャ、ニャンと! そういう事だったのかニャ」


 そんなフォレスティーナとミミーナには目もくれず、エルウッドはドドンゴに食ってかかる。


「残念だったなドドンゴ! ペンダントを燃やそうとしたみたいだけど、世界樹は燃えないんだよ、知らなかっただろ!」

「ま、待ってくれ! 吾輩は何もしていないぞ!」

「嘘つくなよ! アンタは俺を追い出したくて、こんな暴挙に出たんだろ? このペンダントがないと俺は掟で家に帰らなきゃいけなくなるって知って!」

「だから先ほども言っただろう! 吾輩はそんな掟は知らなかったと!」


 慌てて否定をするドドンゴ。だが――


「……いえ、ドドンゴさん。貴方は知っていたはずですよ、その掟を」


 ――(テル)がそう口を挟んだ。


「ドドンゴさん、ペンダントが無くなったと騒ぎになった時、貴方は言ってましたよね? このペンダントの事を『女神像のペンダント』って(※6-16話参照)。だけどこれ、どう見ても女神には見えませんよ。ドドンゴさん、どうしてこれを『女神像のペンダント』と呼んだんですか?」

「そ、それは……」


 (テル)の言葉にドドンゴの表情が曇る。


「ドドンゴさん、その事を知っていた理由は、このペンダントを鑑定したことがあるから――じゃないですか?」

「っ!」

「ペンダントを鑑定すると、このペンダントが女神を模して作られていることや、村の掟の事も書かれています。ドドンゴさんがペンダントを鑑定した事があるとすれば、モチーフが、女神である事を知っていたのも納得できますし、だとしたら村の掟の事も、貴方は知っていたはずですよ」

「そ、それは……」


 言い淀むドドンゴに、エルウッドが喜々として言い募る。


「お前やっぱり! やっぱりドドンゴが犯人じゃないか! この嘘つき!」

「――いいえ、エルウッド君。それも違いますよ」


 だが(テル)はエルウッドの言葉を即座に否定する。


「むしろ掟の事を知っていたからこそ、ドドンゴさんは犯人じゃあり得ないのです」

「ど、どういう事だよ、それ?」

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