6-8話 ファンタジーな人たち③
「何がそんなに気に食わないのか知らないけど、貴方の態度は同族として見ていて恥ずかしいわよエルウッド!」
エルウッドと同族だと言った彼女。
エルフ族の特徴である長くて尖った耳に、長く豊かに波打つブロンドヘア。
彫りの深い綺麗な顔は、まるで彫刻のような美しさだ。
袖が無くフードのついたシャツに、大きくスリットの入ったコルセットスカート。
緑を基調としたその衣装には、ところどころに北欧の民族衣装のような装飾が施されている。
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名前:フォレスティーナ
性別:男 年齢:43 種族:エルフ族
状態:なし
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【ジョブ】
[猟兵Lv.10(Max)][弓術士Lv.3]
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【称号】
[森の守り人][熟練の戦士][細マッチョ][勉強家][C級冒険者]
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【ステータス】
ステータスレベル:36
HP:503/533 MP:488/502
攻撃:386 防御:320
魔力:333 魔抗:284
器用:267 俊敏:265
幸運:80
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【アクティブスキル】
[精霊魔法Lv.10(Max)][短剣術Lv.10(Max)][弓術Lv.3]
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【パッシブスキル】
[攻撃+50][防御+20][魔力+20][魔抗+20][HP最大値+40][MP最大値+40]
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(この人もやっぱりエルフか。地球だったらハリウッド女優も逃げ出すくらいの美人だよね。それにステータスレベルがこのパーティの中で一番高いなぁ。一番強いのは彼女みたいだし、彼女がこのパーティのリーダーなんじゃないかな?)
レベルだけでなく称号も、他のメンバーが[D級冒険者]なのに彼女だけが[C級冒険者]だ。
きっとこの人がリーダーなのだろうと照は推測する。
「なっ、フォレスティーナ! 俺と同じエルフのくせに、ドワーフなんかの味方をするのか!? こんなチビを!」
「だからそういう仲間を貶める発言をやめろと言ってるのよ!」
エルウッドはリーダーであるエルフの美女――フォレスティーナにも食ってかかるが、逆に彼女に一喝されてしまった。
「エルウッド、貴方は少し頭を冷やすのよ。先に一人で自分の部屋に行ってなさい」
「うぅ~、もういい、分かった! 覚えてろよ、ドドンゴ!」
そんな捨て台詞を吐き、エルウッドはロビーから二階へ続く階段を駆け上っていった。
残された三人の冒険者パーティメンバー。
「やれやれ……エルっちはいつにも増してヒステリックだったニャア……」
階段を駆けあがったエルウッドを見送って、猫人族のミミーナが呆れたような声を上げた。
それを聞きつけたドワーフのドドンゴが、ミミーナに頭を下げる。
「すまないミミーナ殿。吾輩のせいで気を使わせてしまって……」
「何を言うニャ。今回のいざこざに関しては、悪いのはエルっちのほうニャよ。普段はここまで我儘な子でもないのに、ドドンゴに対してだけあんな……。いったいどうしたのかニャア?」
「エルウッド殿はエルフだ。ドワーフである吾輩を嫌うのも仕方のない事であろう」
そんなドドンゴの指摘に、リーダーのフォレスティーナが口を挟む。
「何言ってるの、エルフ族とドワーフ族の確執なんて何百年も昔の話よ。里から出たことのない引きこもり連中ならともかく、里を出て外の世界を知ってるエルフなら、いつまでも過去の確執に拘るようなバカなことはしないわ」
「しかし、それならばエルウッド殿は里から出てまだ月日も浅いと聞く。偏見を持ったままなのも仕方ないのではないか? いわゆる反ドワーフ教育というやつだ」
「それは……はぁ、確かにドドンゴの言うとおりね」
ため息をつくと、達観した様子で肩をすくめるフォレスティーナ。
「まったく……他種族を憎むように促す教育なんて、エルフの国際的地位を落とすだけで、利なんて全く一つもないっていうのに……。そのことがどうして年寄り連中には分からないのかしら……」
そんなエルフとドワーフの不仲についての会話。
それを待合のソファーからこっそり聞いて居た照は――
(なんだか聞いたことあるような問題だなぁ……。異世界でも似たような国際問題が起こるもんなんだね)
――などと思っちゃうのであった。
そうして照が聞き耳を立てている間も、冒険者パーティの話し合いは続く。
「……ともかく、だからと言ってこのままドドンゴを放っておいていいわけないわ」
会話を仕切り直し、眉をしかめるフォレスティーナ。
その表情にはリーダーとしての苦慮がありありと出ていた。
大きくため息をついて言葉を続ける。
「どんな理由があるとはいえ、今回のヒステリックな行為は、いくら何でも目に余るわ。エルウッドはあまりにパーティというものをないがしろにし過ぎている。もし彼がどうしてもドドンゴをパーティから外せと言うなら、私としてはドドンゴじゃなくエルウッドの方を外した方がいいとさえ思ってるわ」
「ニャッ! それは駄目ニャッ! ウチとエルっちとは前のパーティからの仲間で、お互いを決して裏切らないと誓ってるニャン! ウチにとって弟のような存在だし、エルっちを追いだすなんて許さないニャ! それに彼がパーティを辞めたら、回復魔法を使えるメンバーが居なくなってしまうニャよ!」
「分かってるわ。だからそうならないよう、出来る限り努力はするつもりよ。何とか二人の関係を修復できればいいんだけど……」
軽く言い合いになってしまったフォレスティーナとミミーナの様子に、ドドンゴが再び頭を下げる。
「すまない二人とも……。やはり吾輩のせいで……」
「だからドドンゴのせいではないと言ってるでしょう。貴方にはいつも感謝してるわ。前衛として活躍するだけでなく、鍛冶師としても頼りにしているんだから。貴方のおかげで私たちも、装備品に不自由することなく戦えているんじゃない」
そうフォローを入れるフォレスティーナに、ミミーナはうんうんと頷き肯定する。
「そうニャそうニャ。それよりドドンゴこそ大丈夫かニャ? あれだけ悪態をつかれ続けてたら、嫌になって『パーティを抜けたい』だなんて言い出さないかニャ?」
「それなら大丈夫だ。吾輩は何があってもこのパーティを抜けるつもりはない」
「それなら安心ニャ。あとはエルっちがもう少し温和な態度をとってくれればいいんだけど……」
先ほどまでのエルウッドの態度を思い出し、大きくため息をつくミミーナ。
「あの様子じゃなかなか難しそうだニャア……」
「そうね……。まぁ暫くは様子を見ましょう。明日になればコロッと機嫌が直っているかもしれないし……。それじゃ私たちも、今日のところはこれで解散ね。あとは各自自由行動よ」
リーダーのフォレスティーナがそう決断し、ミミーナとドドンゴもそれに従う。
「じゃあウチはディナーまで部屋で休むニャ。エルっちの様子も見ておきたいし。ドドンゴはどうするニャ?」
「吾輩はこの宿場の武器屋を、閉店する前に覗いてみようかと思っている。フォレスティーナ殿は?」
「私は早めに風呂に入ろうかな。この宿屋の浴場はいつでも入れるようだしね」
そうして冒険者パーティは散会した。




