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神様、探偵チートじゃ戦えません!  作者: 雨墨 篤
第五章 悪役令嬢の憂鬱
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5-10話 戦闘開始

 ――再び城外の戦場で。


 巨大なドラゴンと対峙する(ミオ)蓮司(レンジ)

 部下の騎士たちが民衆を先導し、ようやく安全な距離まで避難できた事を確認すると、二人は戦闘を開始する。


「出し惜しみはしないからね! [古代魔法Lv.10]ラグナロク!」


====================

[ラグナロク]

 [古代魔法]レベル10の魔法。

 魂もを焼き尽くす終末の炎。

====================


 (ミオ)が杖を構えてそう叫ぶと、ドラゴンの立っている地面に魔法陣が現れ、青白い炎が吹き上がった。

 炎は巨大な柱となってドラゴンの体を包みこむ。


「グォオオオオオオオッ!」


 数あるジョブの中で[賢者]にしか使えない[古代魔法]。

 その最大レベルの魔法だ。

 たとえSランクの魔物でも、直撃すればただでは済まない。

 そこへ蓮司(レンジ)が追い打ちをかける。


「[槍術Lv.7]ソニックダイブ!」


====================

[ソニックダイブ]

 [槍術]レベル7の戦技。

 防御を捨て体ごと突っ込む特攻攻撃。

====================


 吹きあがる闘気を身にまとい、槍を中段に構えたまま、体ごとドラゴンに突っ込んでゆく蓮司(レンジ)

 切っ先がドラゴンの左肩に当たった瞬間、衝撃波とともにその肩口が抉れてはじけ飛んだ。


「グギャァアアアアアアアアッ!」


 続けざまに攻撃を受け、耐え切れずドラゴンが悲鳴をあげた。

 手ごたえを感じた蓮司(レンジ)がニヤリと笑みを浮かべた。

 だがそのとき――


 ――ドラゴンの口が大きく開かれ、鎌首をもたげて蓮司(レンジ)を狙う。


「――っ! このぉっ!」


 ――ゴォオオオッ!


 吐き出された吹雪のブレスを、体を捻って辛くも躱す蓮司(レンジ)

 そして慌てて距離をとった。

 背後から(ミオ)の声がかかる。


蓮司(レンジ)、大丈夫!?」

「ああ、心配ねぇ! このまま行くぞ! Sランクってもこれならオレたち二人で――」


 そこで蓮司(レンジ)の言葉が切れる。

 (ミオ)に返事を返したその一瞬、わずかに目を離した隙に、ドラゴンが姿を消していたからだ。


「なっ? どこ行った!」

「上だよ蓮司(レンジ)!」


 (ミオ)の焦った声を聞き、蓮司(レンジ)が慌てて空を見上げる。

 そこには一瞬で上空へ飛びあがり、蓮司(レンジ)目掛けて猛スピードで落ちてくるドラゴンの巨躯があった。


 ――ズゥウウウウウウウウンッ!


 蓮司(レンジ)を踏み潰さんとするドラゴンのスタンピング。

 その巨躯からは考えられない軽やかな身のこなしだ。


「っぶね!」


 斜め後方へ飛びあがり、何とか回避する蓮司(レンジ)

 だがそこへ――


 ――ブォンッ!


 横薙ぎに振るわれたドラゴンの尻尾が襲い掛かる。

 まさかの追撃に対応できず、太さ1メートルもある尻尾が蓮司(レンジ)に直撃する――!


「ぐぉおおおおおおおっ!」


 ――蓮司(レンジ)の体は高く舞い上がり、そのまま地面に叩きつけられた。


「レ、蓮司(レンジ)!」


 蓮司(レンジ)の心配をする(ミオ)だが、今の状況で彼を助けに行く余裕はない。

 ドラゴンの攻撃はまだ終わらない。


「クワァアアアアアアアア!」


 ひときわ甲高い鳴き声を上げたドラゴンの周りに、無数の魔法陣が浮かび上がる。

 そしてその一つ一つから、(ミオ)めがけて巨大な氷の槍が打ち出された。

 氷魔法[アイスニードル]の超多重攻撃だ。


====================

[アイスニードル]

 [氷魔法]レベル1の魔法。

 氷の矢を打ち込む。

====================


 (ミオ)は慌てて防御のためのスキルを使う。


「[土魔法Lv.3]アースウォール!」


====================

[アースウォール]

 [土魔法]レベル3の魔法。

 土の壁を作り出す。

====================


 (ミオ)の前に、せり上がるようにして土の壁が出現する。

 だがドラゴンの魔法は、[氷魔法]レベル1ながらその膨大な魔力で強化され、一発一発が通常の[アイスニードル]の何十倍もの大きさだ。

 それがまるで散弾銃のように打ち出され、土の壁はあっという間に削り取られていく。


「きゃああああああああああっ!」


 雨のように降り注ぐ氷の矢の雨に、(ミオ)がたまらず悲鳴を上げた。

 そして魔法が打ち尽くされた後――。


「はぁ……はぁ……こんな……」


 致命傷は避けたものの、体のあちこちに傷を負い、服が破けた(ミオ)の姿があった。

 あられもない肢体を晒す(ミオ)に、躊躇なく口を開き狙いを定めるドラゴン。


「――っ!」


 (ミオ)はそれに気付くも回避が間に合わない。


「グォオオオオオオオオオオオッ!」


 雄叫びをあげたドラゴンは、(ミオ)に向けて吹雪のブレスを――。

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