5-10話 戦闘開始
――再び城外の戦場で。
巨大なドラゴンと対峙する澪と蓮司。
部下の騎士たちが民衆を先導し、ようやく安全な距離まで避難できた事を確認すると、二人は戦闘を開始する。
「出し惜しみはしないからね! [古代魔法Lv.10]ラグナロク!」
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[ラグナロク]
[古代魔法]レベル10の魔法。
魂もを焼き尽くす終末の炎。
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澪が杖を構えてそう叫ぶと、ドラゴンの立っている地面に魔法陣が現れ、青白い炎が吹き上がった。
炎は巨大な柱となってドラゴンの体を包みこむ。
「グォオオオオオオオッ!」
数あるジョブの中で[賢者]にしか使えない[古代魔法]。
その最大レベルの魔法だ。
たとえSランクの魔物でも、直撃すればただでは済まない。
そこへ蓮司が追い打ちをかける。
「[槍術Lv.7]ソニックダイブ!」
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[ソニックダイブ]
[槍術]レベル7の戦技。
防御を捨て体ごと突っ込む特攻攻撃。
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吹きあがる闘気を身にまとい、槍を中段に構えたまま、体ごとドラゴンに突っ込んでゆく蓮司。
切っ先がドラゴンの左肩に当たった瞬間、衝撃波とともにその肩口が抉れてはじけ飛んだ。
「グギャァアアアアアアアアッ!」
続けざまに攻撃を受け、耐え切れずドラゴンが悲鳴をあげた。
手ごたえを感じた蓮司がニヤリと笑みを浮かべた。
だがそのとき――
――ドラゴンの口が大きく開かれ、鎌首をもたげて蓮司を狙う。
「――っ! このぉっ!」
――ゴォオオオッ!
吐き出された吹雪のブレスを、体を捻って辛くも躱す蓮司。
そして慌てて距離をとった。
背後から澪の声がかかる。
「蓮司、大丈夫!?」
「ああ、心配ねぇ! このまま行くぞ! Sランクってもこれならオレたち二人で――」
そこで蓮司の言葉が切れる。
澪に返事を返したその一瞬、わずかに目を離した隙に、ドラゴンが姿を消していたからだ。
「なっ? どこ行った!」
「上だよ蓮司!」
澪の焦った声を聞き、蓮司が慌てて空を見上げる。
そこには一瞬で上空へ飛びあがり、蓮司目掛けて猛スピードで落ちてくるドラゴンの巨躯があった。
――ズゥウウウウウウウウンッ!
蓮司を踏み潰さんとするドラゴンのスタンピング。
その巨躯からは考えられない軽やかな身のこなしだ。
「っぶね!」
斜め後方へ飛びあがり、何とか回避する蓮司。
だがそこへ――
――ブォンッ!
横薙ぎに振るわれたドラゴンの尻尾が襲い掛かる。
まさかの追撃に対応できず、太さ1メートルもある尻尾が蓮司に直撃する――!
「ぐぉおおおおおおおっ!」
――蓮司の体は高く舞い上がり、そのまま地面に叩きつけられた。
「レ、蓮司!」
蓮司の心配をする澪だが、今の状況で彼を助けに行く余裕はない。
ドラゴンの攻撃はまだ終わらない。
「クワァアアアアアアアア!」
ひときわ甲高い鳴き声を上げたドラゴンの周りに、無数の魔法陣が浮かび上がる。
そしてその一つ一つから、澪めがけて巨大な氷の槍が打ち出された。
氷魔法[アイスニードル]の超多重攻撃だ。
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[アイスニードル]
[氷魔法]レベル1の魔法。
氷の矢を打ち込む。
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澪は慌てて防御のためのスキルを使う。
「[土魔法Lv.3]アースウォール!」
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[アースウォール]
[土魔法]レベル3の魔法。
土の壁を作り出す。
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澪の前に、せり上がるようにして土の壁が出現する。
だがドラゴンの魔法は、[氷魔法]レベル1ながらその膨大な魔力で強化され、一発一発が通常の[アイスニードル]の何十倍もの大きさだ。
それがまるで散弾銃のように打ち出され、土の壁はあっという間に削り取られていく。
「きゃああああああああああっ!」
雨のように降り注ぐ氷の矢の雨に、澪がたまらず悲鳴を上げた。
そして魔法が打ち尽くされた後――。
「はぁ……はぁ……こんな……」
致命傷は避けたものの、体のあちこちに傷を負い、服が破けた澪の姿があった。
あられもない肢体を晒す澪に、躊躇なく口を開き狙いを定めるドラゴン。
「――っ!」
澪はそれに気付くも回避が間に合わない。
「グォオオオオオオオオオオオッ!」
雄叫びをあげたドラゴンは、澪に向けて吹雪のブレスを――。




