4-14話 ゴブリンの友
今回で四章終了です。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
ゴブリンの村を後にした、照、尊、魔の森の女王マリーの三人。
「俺について来い」と言ったきり、目的地も告げずに森を進んでいく尊。
その後に付いて行く照は、歩きながら自身のステータスを確認していた。
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名前:テル・ソウマ
性別:男 年齢:16 種族:人間
状態:なし
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【ジョブ】
[探偵Lv.5]
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【称号】
[異世界からの転移者][ゴブリンの友(new)]
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【ステータス】
ステータスレベル:1
HP:28/28 MP:18/18
攻撃:15 防御:10
魔力:12 魔抗:13
器用:30 俊敏:8
幸運:35
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【アクティブスキル】
[探偵の鑑定眼][探偵の魔探眼][探偵手帳(new)][探偵の鑑識眼(new)]
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【パッシブスキル】
[経験値×10倍][死神体質][グロ耐性(小)][物理被ダメージ5%軽減(new)]
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【新スキル解説】
[探偵手帳]
事件の記録を自動的に記録する魔法のタブレットを呼び出せる。
習得条件:ジョブ[探偵Lv.4]の達成。
[探偵の鑑識眼]
目に見えない指紋、血液、薬品等の痕跡を見る。痕跡に重ねて鑑定を行う事で、詳しい分析が可能。
習得条件:ジョブ[探偵Lv.5]の達成。
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([探偵]ってもうレベル5なのか、早いよね。多分この[経験値×10倍]って成長チートスキルの効果だろうけど。……でもステータスレベルは1のままか。ゴブ助に殴られて、よく死ななかったよね、ボク……)
続いて照は新しく得たスキルの解説に目をやる。
(覚えたスキルは[探偵手帳]と[探偵の偽装工作]か……)
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[探偵手帳]
事件の記録を自動的に記録する。
習得条件:ジョブ[探偵Lv.4]の達成。
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([探偵手帳]……よくわからないから使ってみるかな?)
「よし、[探偵手帳]!」
照が[探偵手帳]のスキルを起動させると――照のポケットからメロディが聞こえ始めた。
どうやらスマホの着信音のようだ。
「どうしてスマホが? 異世界じゃ使えないし、充電もとっくに切れてたはず……」
確認してみると、電源は入るようになっていたが、ホーム画面には一つのアイコンしか表示されていない。
その手帳のようなデザインのアイコンをタッチみると、知らないアプリが立ち上がった。
調べてみるとメモ帳やスケジュール管理機能の他、ノルド城で起きた神官長焼死殺人事件と、今解決したばかりの連続殺ゴブ事件の詳細なデータが、いつでも見れるようになっていた。
どうやら今まで解決してきた事件の記録が見れるデータ管理アプリのようだ。
(なるほど、このスマホアプリがスキルの効果って事か。うーん、事件を記録するって確かに探偵っぽいスキルだけど……。到底チーレムなんて目指せる能力じゃないし、正直いらないかなぁ)
一つ目の新スキルの使えなさに、ガックリと肩を落とす照。
気を取り直して二つ目の新スキルの検証を始める。
(次は[探偵の鑑識眼]か……)
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[探偵の鑑識眼]
目に見えない指紋、血液、薬品等の痕跡を見る。痕跡に重ねて鑑定を行う事で、より詳しい分析が可能。
習得条件:ジョブ[探偵Lv.5]の達成。
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(スキル名がレベル2で覚えた[探偵の鑑定眼]と似てるけど……。それで効果は……『目に見えない指紋、血液、薬品等の痕跡を見る』ねぇ……。良く分からないから、これも試しに何か……そうだ、これを……)
照は廃墟で拾った[光の属性剣]を、腰から鞘ごと外して掲げ、[探偵の鑑識眼]を使ってみる。
すると剣のあちこちに、赤く光る指紋のような模様が現れた。
「これが[探偵の鑑定眼]で見れる痕跡ってやつか。よし、これをさらに……[探偵の鑑定眼]!」
照は赤く光る模様を鑑定してみる。
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テル・ソウマの指紋
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鑑定結果はこの通り。
(つまり――警察の鑑識みたいに、指紋や血痕なんかを調べる事ができるスキルって事か。うーん、これも『探偵』としては使えるスキルなんだろうけど……別に嬉しくはないかなぁ……。やっぱりジョブ『探偵』じゃチーレムは無理そうだね、ガッカリ……。あとは……)
最後に照は称号に目を付ける。
(この『ゴブリンの友』って称号だけど……)
照は『ゴブリンの友』をダブルクリックして解説ウィンドウを開く。
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[ゴブリンの友]
ゴブリンと心を通わせたものに与えられる称号。
習得スキル:[物理被ダメージ5%軽減]
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(ゴブ助……。もしかしてボクのこと、友達だと思ってくれたのかな……?)
照は別れたばかりのゴブ助のことを思い、少し暖かい気分になった。
* * *
「よし、着いたぞ」
歩き続けていた尊が足を止めたのは、森が開けた場所。
森の中にぽっかり空いた草地、ここが尊の目的地だったらしい。
「それじゃ行くか照」
「行くってどこに……?」
「決まってるだろ、ノルド城だ。お前が転移してきた城だよ。友達が捕まってるんだろ? 約束通り助けに行くんだよ」
「本当に! でも、ここからどうやって城まで行くのさ?」
「あー、普通なら馬で半月くらいかかるかな? だけど……」
尊は手を掲げて「サモン!」と叫ぶ。
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[サモン]
[隷属魔法Lv.6]の魔法。
魔法陣で従魔を離れた場所から呼び寄せる。
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その途端、目の前の地面に六芒星に似た魔法陣が広がる。
直径5メートルほど、まぶしい輝きを放つその魔法陣から、せり上がるようにして魔物が姿を現した。
その姿は、上半身が鷲で下半身がライオン――グリフォンと呼ばれる魔獣だ。
「コイツは俺の従魔で、名前はグリードだ。こいつに乗っていけば五日で着く」
「うぉおおおっ! これってグリフォンってやつだよね? スゲーッ!」
体長3メートルはあろうそのグリフォンを見て、照は興奮した声を上げた。
「それじゃ照、背中に乗り込め。マリー、また会いに来るよ」
「待っておるのじゃ、主殿」
尊にエスコートされグリフォンの背に乗る照。
「それじゃ行くぞ! 飛べ、グリード!」
「クワァアアアアア!」
女王を残し、グリフォンが宙に舞う。
朔夜と鈴夏を助けるために、目指すのは二人の居るノルド城。
――だがまだ照は知らない。
丁度そのころ親友の剣人もまた、照を救うためにノルド城を目指していることを。
転移者たちの会合が、もう間もなくまで迫っている。
――第五章へ続く。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。
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