2-7話 成人の儀
それから――。
十分ほどして扉が開き、儀式の間から朔夜が戻ってきた。
「いかがでしたか、サクヤ様?」
「ちゃんとジョブを授かってきたわ。ステータスオープン」
ウェルヘルミナの問いに応えて、朔夜は自分のステータスを開く。
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名前:サクヤ・シノノメ
性別:女 年齢:17 種族:人間
状態:なし
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【ジョブ】
[勇者Lv.1]
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【称号】
[異世界からの転移者][見習い戦士][初級魔術師]
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【ステータス】
ステータスレベル:1
HP:28/28 MP:25/25
攻撃:26 防御:10
魔力:25 魔抗:11
器用:15 俊敏:10
幸運:10
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【アクティブスキル】
[聖剣術Lv.1][精霊魔法Lv.1]
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【パッシブスキル】
[経験値×10倍][攻撃力+10P][魔法力+10P]
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【新スキル解説】
[聖剣術Lv.1]
勇者のみが使える、聖なる魔力を込めた特別な剣術。
習得条件:ジョブ[勇者Lv.1]の獲得。
[精霊魔法Lv.1]
精霊の力を借りて様々な属性魔法を放つ魔術。
習得条件:ジョブ[勇者Lv.1]の獲得。
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「まぁあああっ! [勇者]ですって!」
朔夜のステータスを見た途端、ウェルヘルミナは驚きの声を上げた。
「それほど驚くと言う事は、[勇者]というのはすごいジョブなのかしら?」
「もちろんですともサクヤ様!」
ウェルヘルミナが興奮気味に説明する。
「[勇者]と言えば専用の聖剣スキルと、エルフ族に伝わる精霊魔法を同時に習得できるレアジョブです!強力な武器と魔法両方のジョブスキルを併せ持つ、戦闘職最強のオールラウンダーですわ!そんなレア中のレアジョブを引き当てるなんて……。凄いですわ! 凄いですわ! さすがはわたくしのサクヤ様ですわ!」
「わたくしのって……ちょっと意味が分からないけれど、強力なジョブが引き当てられたのならなによりね……」
大興奮のウェルヘルミナに、若干引き気味の朔夜。そして――
(しまった! 最初から大当たりじゃないか! どうしてボクは一番先に儀式へ行かなかったんだ? そうすればもしかしたら、ボクが[勇者]のジョブを引き当てていたかもしれないのに!)
――チートチャンスを逃した照が、こっそりと悔しがっていた。
* * *
朔夜に続き、次は照が儀式の間に足を踏み入れる。
扉の中は教会のような、細長い長方形の部屋だった。
入口から奥までは約20メートルほど。
天井は高く5メートル以上はあるだろうか。
右側の壁が全面が透明なステンドグラスとなっていて、太陽光をふんだんに取り入れる作りとなっている。
そのお陰か、左側の壁には壁掛け燭台が並んではいるが、使わなくとも十分すぎるほどに明るい。
そして一番奥には燭台や祭壇があり、その前でひとり赤い服の神官長が待ち構えていた。
「では転移者様、祭壇の前へ」
神官長に促され、照は祭壇の前に立つ。
花の活けられた花瓶や燭台で飾られられた祭壇には、中央に人の頭ほどの水晶が置かれていた。
「では女神様に祈りを捧げながら、中央の水晶に触れてください」
「こ、こうですか?」
言われるがまま祭壇の水晶玉に触れる照。
(テンプレ的に続けて[勇者]が出るなんて事はあり得ないよね……。うぅ……お願いします女神様! ボクも[勇者]にしろだなんて贅沢は言いません! 別のものでいいので、レアで特別なジョブをください!)
すると――キラキラ輝く光の膜が照を覆い、心地よい暖かさがその体を包み込む。
そして――。
『分かりました、テル・ソウマくん。だったらキミには特別で超レアなジョブをあげましょう』
唐突に女性の声が照の頭に響く。
照はその声に聞き覚えがあった。
『その声……もしかして女神様?』
『そうですよ。女神一キュートだと評判のニンフィア様です』
『キュート……』
『テルくんのご希望通り、特別なジョブを与えましょう。これは『神に最も近いジョブ』とも言われている、もの凄いスペシャルジョブなのです』
『なっ! そんなすごいジョブをボクに?』
『ええそうです。だから頑張ってレベルを上げてくださいね。そうすれば……またアタシに会えるかもしれませんよ?』
『えっと、それは……』
別に会いたいとは思わない……とも言えずに口ごもる照。
『と、ともかくありがとうございます』
『いえいえ、どういたしまして。ああ、それと、一つだけサービスで忠告しておきますね。爆弾魔には気を付けてください』
『爆弾魔?』
不穏な単語に思わず聞き返す照。
すると女神様の口から思いもよらない不吉な言葉が紡がれる――。
『でないと――キミの一番大切なものが、今度こそ失われてしまうかも知れませんよ?』
『へ? そ、それってどういう……』
『それじゃ頑張ってくださいね。さよーならー』
『ちょっ、待っ――』
そして女神の言葉が終わると同時に、照を包んでいた光がはじけて消えた。
「な……なんだ今の……?
ボクの大切なものが無くなるって……?」
思いがけない出来事に照が呆然としていると、赤色の服の神官長が驚いた様子で話しかけてくる。
「転移者様、もしかして女神様の声を聞いたのですか?」
「え、ええまぁ……」
「それはすごい! 『成人の儀』で女神様の声を聞ける人はめったにいません! きっと素晴らしいジョブを授けられたに違いありませんよ!」
「――えっ! ホントですか!?」
神官長の言葉を聞き、照は慌ててステータスを開きジョブを確認する。
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名前:テル・ソウマ
性別:男 年齢:16 種族:人間
状態:なし
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【ジョブ】
[探偵Lv.1]
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【称号】
[異世界からの転移者]
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【ステータス】
ステータスレベル:1
HP:28/28 MP:18/18
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「……た、探偵?」
ジョブの欄に書かれていたのは、RPGではまず聞く事のないジョブだった。




