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【七章終了】神様、探偵チートじゃ戦えません!【八章更新中】  作者: 雨墨篤
第七話 導かれし七人の異世界転移者たち
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7-8話 導かれし七人の異世界転移者たち②

====================

①イリア・マキノ(牧野唯理亜)

②エイタ・カブラギ(鏑木栄太)


④ケント・サクライ(櫻井剣人)

⑤サクヤ・シノノメ(東雲朔夜)

⑥スズカ・シラヌイ(不知火鈴夏)

⑦テル・ソウマ(惣真照)


====================


「あっ、もしかして! 名前の頭文字があいうえお順になってるのか!」


 そう声を上げた剣人(ケント)に、(テル)は肯定するように頷く。


「そう、陽莉(ヒマリ)を外せばきれいに五十音順になってるんだよ」

「五十音順……でも、それっておかしくないかしら?」


 続いて朔夜(サクヤ)が疑問を呈する。


「ファーストネームが先、これって英語圏に合わせた表記でしょう? だとしたら順番も合わせてアルファベット順になるのが自然ではないかしら? あいうえおの順にするのなら、日本に合わせて苗字が先になるべきよ」

「いいえ朔夜(サクヤ)さん、ココは異世界ですよ? 洋風に見えて中身は日本、それがナーロッパとも呼ばれる異世界の定番なのです」

「い、いやそんな事を堂々と言い切られても、全く納得できないかしら……」

「ですがそういうものなんです。ミステリばかり読んできた朔夜(サクヤ)さんは納得できないかもしれませんが、そういうものだと諦めてください」


 朔夜(サクヤ)の疑問をごり押し論破した(テル)は、話題を本題に戻す。


「とにかく、陽莉(ヒマリ)の項目を消せば五十音順という法則性が見いだせるという事は、こういう仮説も成り立つんじゃないですか? 『③番目に転移してきたのは陽莉(ヒマリ)ではなく、陽莉(ヒマリ)の姿をした他の人間』だって」


 (テル)の述べた仮説に、驚きつつも納得した様子の二人。


「言われてみれば確かに、美少年になった栄太(エイタ)や幼女になった山本先生と同じように、陽莉(ヒマリ)の姿をした別の人間って可能性はあるな」

「そうね……。だとしたら(テル)くん、この部屋の中にいる陽莉(ヒマリ)さんは、本当は誰だと言うのかしら?」


 朔夜(サクヤ)の質問に(テル)が応える。


「五十音順と考えた場合、名前の頭文字がエ~ケの人物が彼女の正体。あの爆発現場にいた事が分かっている人物の中で、その条件に当てはまっているのは一人しかいません」


 そして扉の方へ向き直ると、(テル)は部屋の中にいるであろう人物に語りかける。


「ねぇ、間違っていたらゴメン。だけど本当の事を教えてくれないか?」


 (テル)は思いを込めるように、扉を見つめて話し続ける。


「キミは陽莉(ヒマリ)じゃない……キミの本当の名前は……『影文乙女(かげふみおとめ)』ちゃん……だよね?」


 ――影文乙女かげふみおとめ

 |(テル)の幼馴染である陽莉(ヒマリ)の友達で、黒髪で三つ編み、眼鏡の文学少女だ。

 (テル)は部屋の中の人物をそう呼んだ。


 ……部屋の中からの返事は無い。


影文乙女(かげふみおとめ)……確か(テル)くんや剣人(ケント)くんと同じ一年生ね。爆発現場となったラノベ部の部員だったかしら?」

「部活の時にいつも陽莉(ヒマリ)と一緒にいた子の名前だよな。そういや事件の時も陽莉(ヒマリ)と一緒に爆発現場にいたはずだ。頭文字は『お』だから確かに条件に当てはまってる……」


 影文乙女(かげふみおとめ)という名前を聞き、それぞれの記憶を辿る朔夜(サクヤ)剣人(ケント)

 (テル)は部屋の中にいる彼女に、心の丈を訴え続ける。


「今のキミがどうして陽莉(ヒマリ)の姿になっているのか? 詮索するなというなら何も聞かないよ。 ただ、陽莉(ヒマリ)でないのなら陽莉(ヒマリ)でないと、ちゃんと出てきて教えてほしい。でないとボクは、陽莉(ヒマリ)がどうなったのか心配でたまらないんだ。キミが陽莉(ヒマリ)でも陽莉(ヒマリ)でなくても構わないから、お願いだから出てきてよ、ねぇ?」


 ――すると、程なくして。

 キキィーっと、ゆっくりと扉が開く。

 部屋の中から現れたのは、陽莉(ヒマリ)にそっくりな顔をした女性だった。


「似てる……けど違う……」


 (テル)にはすぐ彼女が別人だと分かった。

 だが剣人(ケント)は分からない様子で(テル)に尋ねる。


「違う……のか? オレには陽莉(ヒマリ)にしか見えないんだけど……」

「何言ってるんだ剣人(ケント)、全然違うじゃないか。陽莉(ヒマリ)はまごうこと無きLカップだったけど、この人はL寄りのKカップだろ?」

「い、いや、そんな微妙な違い分かるわけが……」

「ボクが陽莉(ヒマリ)の事で分からない事なんてないさ」

「おっぱいの事でそんなにドヤられても……」


 納得のいかない表情の剣人(ケント)を無視して、(テル)はできるだけ優しい声で彼女に語り掛ける。


「やっぱりキミは……陽莉(ヒマリ)じゃないよね?」


 すると彼女は――


「――はい、私は……私は影文乙女(かげふみおとめ)です……」


 ――そう言って泣き崩れたのだった。

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