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【七章終了】神様、探偵チートじゃ戦えません!【八章更新中】  作者: 雨墨篤
第七話 導かれし七人の異世界転移者たち
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7-5話 銀髪褐色幼女イリアちゃんの正体

 続いて(テル)は、もう一人の初対面の人物に目を向ける。

 銀髪で耳の尖った褐色肌の幼女――。


(この耳と肌……この子ダークエルフだよね)


 そう思ってみていると、目の合った幼女がニッコリと笑いかけてくる。


「こんにちは! イリアちゃんだよ!」

「――はぅっ! か、かわいい……」


 きらきらとエフェクトがかかったようなあどけない笑顔に、思わずニヤけてしまう(テル)

 だが……(テル)は考え直す。


(でも……この場にいるって事は、この子も異世界転移者なのかな? 栄太(エイタ)みたいに見た目がすっかり変わっちゃったパターン? だとしたら幼女っぽく振舞ってるけど、中身は……)


 そんなことを想像して、(テル)はブルッと身を震わせた。

 そして近くにいた栄太(エイタ)に尋ねてみる。


「ね、ねぇ栄太(エイタ)、この子誰だか知ってる?」

「ああ、イリアちゃんでござるか? どうやら拙者より早くやってきた転移者らしいでござるが、自分の事を話さないので正体不明の幼女でござるよ」

「正体不明……だったら……」


 (テル)はこっそりと[探偵の鑑定眼]を使ってみる。


====================

 名前:イリア・マキノ

 性別:女 年齢:42 種族:エルフ族

 状態:なし

 ジョブ:[聖女]

====================

【称号】

 [異世界からの来訪者][森の守り人]

====================

【ジョブスキル】

 [回復魔法レベル3][神聖魔法レベル3]

====================

【ステータス】

 レベル:6

 HP:54/54 MP:92/92

 攻撃力:14 防御力:21 魔法力:81

 俊敏力:53 幸運値:21

====================

【アクティブスキル】

 [ヒールライト][ターンアンデット][アンチドーテ][ホーリーエンチャント]

====================

【パッシブスキル】

 [経験値×10倍][俊敏+25P][魔法力+25P][魔力消費3/4]

====================


 鑑定結果をみた(テル)は考えを巡らせる。


(名前は……イリア・マキノか。じゃあ本人の言ってる『イリアちゃん』は本名なんだ……。イリア・マキノ……漢字じゃどう書くんだろ?)


 疑問に思いながら名前の表記をタッチすると、二重にウインドウが現れた。


====================

追記:漢字で書くと[槙野唯理亜]

====================


(お、二重鑑定できるんだ。だけど、うーん……牧野唯理亜(まきのいりあ)、覚えのない名前だなぁ。

 少なくともうちのクラスにはいなかったはずだよね……)


 そう思いつくと、(テル)は同じ応接室にいた朔夜(サクヤ)の傍へ寄っていく。


「あの、朔夜(サクヤ)さん。たしかウチの高校の全校生徒の名前を覚えてるって言ってましたよね?」

「ええ、覚えてるわ。それがどうしたの?」

「なら、牧野唯理亜(まきのいりあ)って名前に心当たりは?」

「マキノイリア? うーん……知らないわね。ウチの学校の生徒はおろか、教職員にもそんな名前の人物はいないはずよ。イリアなんて変わった名前、居たらそれだけで覚えているんじゃないかしら」

「そうですか……」


 朔夜(サクヤ)の答えを聞いて、再び悩み始める(テル)


(学校の関係者じゃない……ってどういう事なんだろ? 今回の異世界転移は、あの爆弾事件に巻き込まれた人だから、全員が学校関係者のはずなんだけど……。唯一、鈴夏(スズカ)さんは刑事で部外者だったけど、他にもあの爆発の現場に学校関係者じゃない人間が居たってことかな?)


 答えを探して(テル)は再度鑑定結果を見る。


(名前以外のデータだと……年齢は42か。幼女にしか見えないけど、エルフだから見た目と年齢が違うのか?)


 そう考えた(テル)だったが(待って待って、そうじゃない!)と、慌てて自分の考えを否定する。


(だって鈴夏(スズカ)さんは、見た目が十代まで若返ってたけど、ステータスの年齢は46歳のままだったじゃないか。いくら外見が変わっても、ステータスの年齢は変わらない……。つまりこれが彼女の実年齢だとすると……)


 深く考え込む(テル)。そして……。


(――ああっ! 一人いる! 条件に当てはまる人物が一人だけ! でも……そんな……そんな恐ろしい事が……)


 気付いてしまった真実に愕然とする(テル)

 だが……思い至った以上目を逸らすわけにもいかない。

 (テル)は意を決してイリアに尋ねる。


「ねぇキミ、ちょっと聞きたいんだけど……」

「あーん、その前に、イリアの事はイリアちゃんて呼んでくれないとヤダよ?」

「あ……えっと……じゃあイリアちゃん……」

「なぁに、(テル)お兄ちゃん?」


 コテンッと可愛く首を傾けるイリアに、(テル)は残酷な質問を投げかける。


「もしかしてキミ…………山本先生?」


 その瞬間、応接室の時が止まったような錯覚を覚えた。


 (テル)のその言葉に、イリアは笑顔を張りつかせたまま、血の気を引かせ真っ青な顔になる。

 数秒の沈黙の後、周りがざわざわとさざめき出す。


「お、おい(テル)、山本先生ってオレたちのクラス担任の……?」

「い、いやいや(テル)どの、嘘でござろう? あの山本先生が『イリアちゃんだよ』とか、そんな幼児プレイをするわけ……」


 戸惑った様子を見せる剣人(ケント)栄太(エイタ)

 さらには朔夜(サクヤ)も疑問の声を上げる。


「私も俄かには信じられないわね、(テル)くん。そもそも名前が違うんじゃないかしら? 貴方さっき、彼女の事をマキノイリアだって言ってたわよね?」


 山本先生の事を知る来訪者たちが、口々に否定の言葉を吐いた。

 彼らの知っている山本先生は、痩せぎすで眼鏡の、ヒステリックに怒鳴り散らす、嫌われ者の教師だ(※1-10話参照)。

 目の前の幼女とは何一つ共通点は無い。

 彼らが信じられないのは仕方のない事。

 だが――。


「いいですか朔夜(サクヤ)さん、それに他のみんなも」


 ――(テル)は思い至った真実を語る。

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