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【七章終了】神様、探偵チートじゃ戦えません!【八章更新中】  作者: 雨墨篤
第七話 導かれし七人の異世界転移者たち
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7-4話  男の娘キター!

 そのままヒミコにイストヴィア城の応接室へと案内された(テル)

 そこにはアインノールドから一緒にやってきた五人――剣人(ケント)朔夜(サクヤ)鈴夏(スズカ)(ミオ)蓮司(レンジ)――の他に、まだ(テル)の知らない人間が二人いた。

 一人は金髪碧眼の美少年。

 もう一人はダークエルフの幼女。


「おお、惣真(そうま)どの……いや、(テル)どのではござらんか!」


 応接間に入ってきた(テル)に最初に声をかけてきたのは、見知らぬ金髪碧眼の美少年だ。

 初対面のはずだがやけになれなれしい態度を見せてくる。


「……へ? いや、えっと……誰?」

「むむむ、(テル)どのも拙者の事が分からないでござるか。姿が変わったから仕方ないとはいえ、少し悲しくなるでござる」

「ボクの事を知ってるってことは、同じ来訪者だよね……それでその口調……」


 ムムム……と考え込んだ(テル)の脳裏に、ある人物の姿が浮かび上がる。

 目の前の美少年と同じござる口調で話す同級生が居たには居たが……。


「ひょっとして鏑木(かぶらぎ)? ……って、いやいや。そんなワケないか、アハハハハ」

「アハハーじゃないでござる! 拙者、正真正銘の鏑木栄太(かぶらぎえいた)でござるよ!」

「えぇえっ! ウソ? だって……」


 (テル)は異世界転移の前の鏑木栄太(かぶらぎえいた)を思い出す。

 テカテカした黒髪センター分けに、小太り瓶底メガネのオールドオタクスタイル。

 それが(テル)の知る鏑木栄太(かぶらぎえいた)という男だったはずだ。


「……それがどうして王子様系イケメンに変身を?」

「フフン、それが異世界転移というものでござるよ」

「マ、マジか……ここまで跡形もなく変わっちゃうのか……」


 栄太(エイタ)のあまりの変貌っぷりに戦々恐々となる(テル)

 そんな(テル)を気にも留めず語りだす栄太(エイタ)


「それにしても、異世界で(テル)殿に会えたのは嬉しいでござる。クラスで拙者と話してくれた女子は、(テル)殿と陽莉(ヒマリ)殿くらいでござったからなぁ」

「だから栄太(エイタ)、ボクを女子扱いしないでっていつも言ってるだろ?」


 (テル)は元の世界でも注意していたセリフを繰り返す。

 だが気に留める様子もなく、栄太(エイタ)は不躾な目線で(テル)を眺める。

 値踏みするように(テル)の全身を見回すと――。


「ふむふむ……よし、合格でござる」


 ポンと柏手を打つ栄太(エイタ)

 その様子に(テル)が首を傾げた。


「合格? 何がだよ、栄太(エイタ)?」

「というわけで(テル)どの、拙者のチーレムメンバーになるでござる!」

「はぁ!?」


 思わぬ栄太(エイタ)からの返事に、つい素っ頓狂な声を上げてしまう(テル)

 だがそれも気にせず一方的にまくし立てる栄太(エイタ)


(テル)どのには拙者の目指すチーレムの貧乳枠として参加するでござるよ! ちなみに巨乳枠は拙者のすぐ後に転移してきた陽莉(ヒマリ)どのにお願いしたいでござるな」

「ち、ちょっと待って! 何を言って……」

「ちなみに拙者より先に転移していたイリアちゃん殿にはロリ枠を……と思ったでござるが、流石に幼女過ぎて断念しましたな。拙者ロリは二桁からで、一桁は流石に範囲外でござるゆえ」

「だから待てって言ってるだろ!」


 構わず持論を語り続ける栄太(エイタ)に、(テル)は思わず大声で待ったをかけた。


「いい加減にしろよ栄太(エイタ)、何だよチーレムって!?」

「おや、知らないでござるか? 異世界転移と言えばチートでハーレム、略してチーレムでござるよ。男として異世界転移した限りは、やはりチーレムを目指すしか無いでござろう」

「いや、チーレムの意味は知ってるし、男として目指すべき目標なのは分かるよ! けどどうして僕がそのメンバーに入らなきゃいけないんだよ!?」


 ハーレム入りを拒否する(テル)に、何故か信じられないといった表情を見せる栄太(エイタ)


「え、嫌でござるか? 今の拙者はこんなにも超絶美少年なのに?」

「嫌に決まってるだろ! てか自分で美少年とか言うな!」

「そ、そんな! 拙者のこのイケメンチートが効かないなんて……!」

「だからさっきも言ったでしょ、ボクを女子扱いしないでって」


 呆れた様子の(テル)は、肩をすくめながら言葉をつづけた。


「大体さ、今のボクは身も心も完全な男なんだから、ハーレムメンバーなんかになれるわけないでしょ?」

「……何ですと?」

「だからボクも栄太(エイタ)と同じように、異世界転移で体が変わってるんだよ。ボクの場合は姿が変わったんじゃなく、いわゆるTS転生ってやつだけどね」

「ぬあっ!?」


 驚愕の事実(?)を知り驚きの声をあげる栄太(エイタ)

 ワナワナと震えながら言葉を続ける。


「そ、そんなことが……。で、では……」

「そう、今のボクは完全な男――」

「男の娘キタァ――――――ッ!!!」

「――へ?」


 突然奇声を上げた栄太(エイタ)がオタク特有の早口でまくし立てる。


「男の娘とは、セクシャルマイノリティの中でも日本のサブカルにしか存在しない性別! それはおち〇ちんのついてる美少女なんて単純な存在ではない! 見た目は本物の女の子以上に可愛いが、それ以外においてはすべてが男という背徳感! 男であるのにも関わらずその愛らしい見た目から、周囲の男を惹きつけ恋愛対象として見られてしまう悲しき存在! そして迫ってくる男たちを可愛く拒む懸命な姿が、不憫でありながらも愛おしくてたまらない! そんな特別な存在こそが男の娘でござる! そ、そんな二次元にしか存在しない理想の男の娘が、いま拙者の目の前にっ!? うぉおおおおおおおっ! これはただの美少女なんかより遥かに高得点でござるよ!  (テル)どの、ぜひ拙者のハーレムにぃいいいいいいっ!」

「ひぃいいいっ!?」


 目を血走らせて迫って来る栄太(エイタ)に、(テル)は思わず悲鳴を上げた。


「男って分かったのに何で逆にテンション上がるの!? 怖い! 怖いんだけど!?」


 栄太(エイタ)のまさかの男の娘フェチに恐怖を感じる(テル)

 さらにそこへ――


「おい栄太(エイタ)! やめないか! (テル)が嫌がっているだろ!」

「ぐぬぬ、剣人(ケント)どの、邪魔をするというなら、たとえお主でも許さんでござる!」


 剣人(ケント)が加わり、(テル)を賭けた睨み合いへ。

 その様子に(テル)が頭を抱える。


(だから違うんだ、ハーレムってこうじゃないんだよ神様……)

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