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【七章終了】神様、探偵チートじゃ戦えません!【八章更新中】  作者: 雨墨篤
第七話 導かれし七人の異世界転移者たち
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7-3話 到着イストヴィア②

 ――一方。


「ここがイストヴィア城か。ようやく到着したよ」


 そう言いもう一台の馬車から降りてきた(テル)

 続いて剣人(ケント)朔夜(サクヤ)も降車してくる。


「俺は先にこちらへ転移してきたから、やっと戻ってきたかって感じだな。どうだ(テル)、俺がこの辺りを案内してやろうか?」

「あら剣人(ケント)くん、日程を考えて貴方が案内できるほどココに詳しくなれたとは思えないのだけれど? それより(テル)くん、私と一緒に観光しましょう」

「何を言ってるんですか朔夜(サクヤ)さん。(テル)は俺が案内するんです」

「違うわ剣人(ケント)くん。(テル)くんは私と共に、新たな事件との出会いを探索するのよ」

「いいや俺が!」

「いいえ私が!」


 あれからずっといがみ合っている二人を見て、(テル)はやれやれとため息をつく。


「二人ともいい加減に――ブヘッ!」


 二人を諫めようとした(テル)が、突然奇声を上げて後ろによろける。

 どうやら何かがものすごい勢いで飛んできて、(テル)の顔にぶつかったようだ。

 顔に張り付いたその何かを引っぺがす(テル)


「いってぇーっ! な、何だよ急に…………って、ド、ドラゴン!?」


 どうやら(テル)の顔に突っ込んできたのは、ヒミコの肩から逃げ出した小ドラゴンのドラキチだったようだ。


「キュウウ……」

「す、凄い! 本物のドラゴンだよ、さすが異世界! どれどれ……」


 目を回しているドラキチを見て、驚きで目を丸くする(テル)

 その好奇心を満たすため、首根っこをつまんだ状態の小ドラゴンに[探偵の鑑定眼]を使ってみると……。


====================

 名前:ドラキチ

 性別:男 年齢:4 種族:ドラゴン族

 状態:なし

====================

【タイプ】

 [ドラゴネットLv.1]

====================

【称号】

 [E級モンスター] [???]

====================

HP:50 MP:40 攻:40 防:35 魔法:37 魔抗:32 器:10 俊:28 幸運:7

【ステータス】

 ステータスレベル:1

 HP:45/50 MP:40/40

 攻撃:40 防御:35

 魔力:37 魔抗:32

 器用:10 俊敏:28

 幸運:7

====================

【アクティブスキル】

 [ドラゴンスキルLv.1][???]

====================

【パッシブスキル】

 [HP最大値+10P][MP最大値+10P][???]

====================


「な、何だこれ?」


 いつも通り現れた鑑定ウィンドウ。

 だが――いつもと違う部分が数か所あった。

 表記の一部が[???]となっており、名前と年齢の文字が赤く点滅していたのだ。


「これは……ひょっとして覚えたての[探偵の偽装察知]のスキルが反応してる?」


 [探偵の偽装看破]は先ほど(テル)が確認していた、他人のステータス偽装を感知することができるスキルだ。


(でも何で? このスキルはまだ赤ちゃんくらいにしか通用しないはずじゃ……?)


 不思議に思い確認すると、どうやらこの小ドラゴンも(テル)と同じくステータスレベルが1のままのようだ。


(なるほど、だからこのチビっこいドラゴンに限ってステータス偽装を察知できたんだな)


 そう理解した(テル)は、改めてその小ドラゴンのステータスを確認する。


(偽装されているのが名前と年齢の二か所。隠蔽されているのが称号とスキルの一部。……他はともかく名前まで非公開って、いったい何なんだこのチビドラは?)


 (テル)が首を傾げていると――。


「大丈夫ですか? その子は私のペットなんです。ウチの子が迷惑かけてすみません」


 ――そう言って現れたのは公爵令嬢のヒミコだ。

 彼女を見た(テル)はまたしても目を丸くする。


(ドラゴンの次は和装巫女の登場!? 世界観どうなってるんだ?)


 そんな(テル)の戸惑いには気付かず、ヒミコは(テル)たちに話しかける。


「あの、皆様は異世界転移者の皆さまですよね? イストヴィア城へようこそ。私はイストヴィア公爵令嬢、ヒミコ・オブ・イストヴィアと申します」


 そう言って可愛く頭を下げた少女――公爵令嬢ヒミコ。


(見た目は洋風金髪美少女なのに名前がヒミコって、やっぱりこの異世界は違和感あるなぁ)


 (テル)はふとヒミコにも鑑定を掛けてみたい衝動に狩られたが、気付かれる可能性を考慮してやめておいた。

 ヒミコの挨拶に応じて、(テル)たちも彼女と挨拶を交わす。


(公爵令嬢って事は貴族の偉い人だよね。そのペットだからあんなに厳重にステータス隠蔽されてたのかな?)


 ヒミコの腕の中に戻った小型ドラゴンに気をやる(テル)

 他の仲間たちと共に一通り自己紹介を終えると、ヒミコが(テル)たちに提案してきた。


「それでは応接室にご案内します。他の転移者の皆様もそちらでお待ちですよ」

「あ、待ってくださいヒミコ様」


 (テル)たちを先導するように歩き出したヒミコを、(テル)が慌てて引き止める。


「ヒミコ様、その前にボクは、引きこもっているという陽莉(ヒマリ)に会いたいのですが……」

「ヒマリ様……ですか? 分かりました。では私が案内いたしましょう」


ヒミコはそう言うと、(ミオ)の方へと向き直る。


「申し訳ありませんがミオ姉様、他の皆さまを応接室へ案内していただけますか?」

「わかったわ、ヒミコ様」


 ヒミコが(テル)を連れて行こうとすると、剣人(ケント)が待ったをかけてきた。


「ま、待って! オレも(テル)と一緒に行くよ」

「二人っきりで話がしたいから、悪いけど剣人(ケント)は遠慮して」


 拒否されてショックな剣人(ケント)を残し、(テル)陽莉(ヒマリ)が引きこもっているという部屋に案内してもらう事となった。


 * * *


 イストヴィア城の一角、陽莉(ヒマリ)のいる部屋の前――。


陽莉(ヒマリ)ーっ! 会いに来たよ!」


 扉の前まで駆け付けた(テル)が、ノックしながら声をかける。


「ボクだ、(テル)だよ! ねぇ、開けてくれよ。中にいるんだろ陽莉(ヒマリ)?」


 だが部屋の中からは何の反応もない。

 呼びかければすぐ飛び出してきてくれると思っていたため拍子抜けする(テル)


「……アレ? あ、あのヒミコ様、この部屋に陽莉(ヒマリ)がいるんですよね?」

「ええ、間違いありません。部屋から出てくれば警護の兵士が気付いて報告があるはずですから」


 不在を疑ったが、ヒミコに聞いても陽莉(ヒマリ)は部屋の中に居るという。


「ねぇ陽莉(ヒマリ)、そこにいるの?」


 再びノックしながら語り掛ける(テル)

 よく聞くと部屋の中でかすかに物音がしており、中に人がいる事がわかる。


陽莉(ヒマリ)、お願いだから出てきてよ。陽莉(ヒマリ)の顔が見たいんだ」


 だがやはり返事は無い。


「どうして……ねぇ陽莉(ヒマリ)……」


 その後、(テル)が何度呼び掛けても、部屋の中からは何のリアクションもなかった。

 案内してくれたヒミコが教えてくれた。


「ヒマリ様は、この世界に来られてからずっとこの状態なんです。お食事も殆ど取られてなくて、皆で心配しているのですが……」

「そんな……陽莉(ヒマリ)……」

「テル様、このままお待ちになられても、きっと出て来てはいただけないでしょう。ひとまず他の皆さんと、合流なされてはいかがです?」

「……そう……だね。……陽莉(ヒマリ)、また来るから!」


 諦めた(テル)は最後に一言声をかけると、ひとまず他の来訪者たちのいる応接室へと向かう事となった。

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