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【七章終了】神様、探偵チートじゃ戦えません!【八章更新中】  作者: 雨墨篤
第七話 導かれし七人の異世界転移者たち
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7-1話 これじゃないハーレム

【忘れている人のための、これまでのおさらい】


 連続爆破事件に巻き込まれ死んでしまった、(テル)を含む八人の日本人たち。


 TS主人公の惣真照(そうまてる)

 (テル)の幼なじみの櫻井剣人(さくらいけんと)瀬名陽莉(せなひまり)

 生徒会長の東雲朔夜(しののめさくや)

 元刑事の不知火鈴夏(しらぬいすずか)

 オールドおたくの鏑木栄太(かぶらぎえいた)

 謎の褐色幼女イリアちゃん。

 そして――爆弾魔と思われる、正体も行方も不明の八人目。


 彼らはお約束どおり異世界転移するも、悪役令嬢ウェルヘルミナの策略によりバラバラの場所へ転移してしまった。

 その後――。


 ――魔の森の連続殺ゴブリン事件。

 ――四年前に異世界転移していた先輩転移者たちの登場。

 ――イストヴィアvsアインノールドの内乱勃発。


 さまざまな出来事ののちに、悪役令嬢の野望を打ち砕いた(テル)たち。

 その後は他の転移者と再会するべく、皆の居る公都イストヴィアへと向かうのであった。


 いよいよ転移者たちが集結する瞬間が迫っている――。


(※このあとからが第七章本編です)



 * * *


 アインノールドからイストヴィアへと向かう道中の宿場町。

 そこで一泊した一行が、翌日出立すべく馬車に乗り込もうとしていたのだが……。


「……あれ、(タケル)がいない?」


 おっぱい大好き勇者の姿が見えないことに気付いたのは、メガネ美人団長の(ミオ)だ。


「どこ行ったんだろ、アイツ?」


 きょろきょろと辺りを見渡す(ミオ)に、リーゼント団長の|蓮司(レンジ)が答える。


「アイツなら『馬車の旅飽きた』ってどっか行っちまったぜ」

「……逃げたわね、あいつ」


 そんなアクシデントに見舞われながら、一行は車上の人となる。

 そして再び、イストヴィアに向けて馬車の旅が始まったのだった。


 * * *


 ――イストヴィアへ向かう馬車の中で。


「ステータスオープン」


 そう唱えた(テル)の目の前に、ステータスウィンドウが立ち上がる。


====================

 名前:テル・ソウマ

 性別:男 年齢:16 種族:人間

 状態:なし

====================

【ジョブ】

 [探偵Lv.6]

====================

【称号】

 [異世界からの転移者][ゴブリンの友]

====================

【ステータス】

 ステータスレベル:1

 HP:28/28 MP:18/18

 攻撃:15 防御:10

 魔力:12 魔抗:13

 器用:30 俊敏:8

 幸運:35

====================

【アクティブスキル】

[探偵の鑑定眼][探偵の魔探眼][探偵手帳][探偵の鑑識眼][探偵の偽装工作(new)]

====================

【パッシブスキル】

[経験値×10倍][死神体質][グロ耐性(小)][物理被ダメージ5%軽減]

====================

【新スキル解説】

[探偵の偽装察知]

 人物ステータスの偽装を察知できる。

 偽装を察知した場合、隠蔽箇所は『???』と表記され 偽装箇所は赤い文字で表示される。

 ただし察知できるのは対象が自分のステータスレベル以下の人物である場合のみ。

 習得条件:ジョブ[探偵Lv.6]の達成。

====================


 今朝の事件解決でレベルアップしていた(テル)は、ステータスに表示された新たなスキルを確認していた。


(新スキルは[探偵の偽装看破]。……なるほど、ステータス偽装を看破できるスキルか。だけど成否がスキルレベルじゃなくステータスレベル依存って……。ボクのステータスレベルって未だに1のままなんだけど……)


 ちなみに――(テル)が事件解決することでレベルアップしているのは[探偵]のジョブスキルであって、ステータス値に影響するステータスレベルはモンスターを倒すことでしか上げる事が出来ない。

 モンスターと戦うスキルのない(テル)のステータスレベルは未だにLv.1のままであり、生まれたての赤ん坊と同じレベルだ。


(つまりステータス偽装が見抜けるとしても、相手は赤ん坊くらいしかいないってことか……。つ、使えねぇ……)


 ガックリと肩を落とす(テル)

 と、そこへ――


「ねぇ(テル)くん。貴方に聞きたいことがあるのだけれど」


 そういって隣に座った朔夜(サクヤ)が、前日同様に腕を絡ませてくる。


「ちょっ! また肘におっぱいが……! な、何ですか朔夜(サクヤ)さん?」

「今朝宿屋で、何やら事件を解決したという噂を聞いたのだけれど……本当なのかしら?」

「え、ええまぁ……」

「それで……どうして私を起こしてくれなかったのかしら?」

「ど、どうしてと言われましても……」

「事件が解決した後で知らされる悲しみが想像できなかったの? 私がどれだけミステリーが好きか、(テル)くんはまだ分かってくれていないのかしら? ねぇ、分かってくれていないのかしら?」

「い、いやその……」

「もしかしてその体に徹底的に叩き込まないと分かってもらえないのかしら? ねぇ、(テル)くん?」

「ふぁあっ! 耳に息を吹きかけ……ひぁあっ! ちょっ、やめ、どこ触って……アフンッ!」


 一方的なボディタッチで嬲られる(テル)

 だがそこへ――


「よせ、朔夜(サクヤ)先輩! (テル)が嫌がってるでしょう!」


 そう言って(テル)朔夜(サクヤ)を引き離したのは、朔夜(サクヤ)とは反対側の隣に座っていた剣人(ケント)だ。

 剣人(ケント)(テル)朔夜(サクヤ)から奪い返すと、今度は自分の胸にギュウゥッと抱き込んだ。


「ちょっ、苦しい、剣人(ケント)!」

「言っておきますが先輩、(テル)はオレのものです。先輩には渡しませんから」

「ムギュウ……や、やめて剣人(ケント)、強く抱きしめないで! 頭ナデナデしないで!」


 その様子を見た朔夜(サクヤ)が、剣人(ケント)に言い返す。


「あら、剣人(ケント)くん。どうやら貴方の方が、(テル)くんに嫌がられているようだけど?」

「そんなことありません! コイツとオレは昔からの親友ですから! 先輩こそ盛りの付いた猫のように、(テル)に付き纏うのはやめてください!」

「何ですって、このホモ野郎!」

「うるさい、この発情女!」

「や~め~て~!」


 ミステリ性愛者の先輩と、バイセクシャルに転向した幼馴染。

 そんな二人に取り合いをされながら(テル)は――


(違うよ神様、これじゃない。みんな大好きテンプレハーレムってこんなんじゃないんだよ神様……)


 ――心の中で神様にクレームを入れるのだった。

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