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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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880話


 8月17日(土曜日)

 

 尚道の両親が運び込んでくれた庭の倉庫から、凱央と尚道がテントなどを出してウッドデッキの下に運ぶ。


「んしょ、んしょ」

「よっしょ、よっしょ」


 春香がパンッとブルーシートを広げてやると、俊洋は靴を脱いでキャッキャと転がる。どうやら、ブルーシートのツルツルと滑る感触が好きなようだ。


「尚道くん。グランドシートとインナーマットとテントはこっちに持ってきてね」

「はぁ〜い。トキくん、インナーマットもって」

「うん」


 せっせと荷物を運んでる凱央と尚道の姿を見ながら、春香はテントを立てていく。


(えっと、ここを……こう)


 パソコンで調べたやり方を思い出しながらやっていると、ブルーシートにちょこんと座った俊洋は目がキラキラと輝いている。


「俊洋。こっちに来ちゃ駄目だよ? 危ないからね。全部終わるまで待っててね?」

「アイ。マッチェル」

「悠助。俊洋を見ててね」

「ハイ」


 春香がテントを立て終わると、凱央と尚道はピョンピョンとジャンプをして、悠助と俊洋は四つん這いでテントに近づき、揃って凱央と尚道を見上げた。


「トチオニイタン、ナオニイタン。ボクモ、テントニハイッテイイ?」

「ボクモ、イイ?」


 凱央と尚道はニッコリと笑って頷いた。


「うん。でも、あばれたりしたらダメだよ? せっかくママががんばってたててくれたんだからね?」

「もちろん、いいよ。いっしょにはいろう」


 凱央と尚道は靴を脱いでブルーシートに上がり、テントの前で悠助達に手招きをする。


 悠助と俊洋はゆっくりとテントの出入り口に近づいた。そして、四人でソロリソロリと中に入る。尚道の父親が持ってきてくれたインナーマットはフカフカとしていて、四人でゴロリと横になった。


「うわぁ……。なんていうのかな? きもちいいね」

「いえよりせまいのに、なんかきもちよくてたのしくなるよね」


 風が吹いてきて、フロントドアパネルとメッシュパネルがパタパタとなびく。


(良い風……。うん。風がテントの中に入っても浮いたりしてないし、ちゃんと出来たよね)


 コロコロと四人が転がって遊んでいるのを見て、春香はキッチンに行き昼食の準備にとりかかった。





 尚道はガーデンテーブルを組み立てブルーシートの上に置いた。凱央はキッチンに行き布巾を絞ってもらい、外にいる尚道に手渡した。


 昼食を外で食べたいとリクエストをしていた凱央と尚道は、せっせと準備をしている。


「マーマ。ボクモ、ソトデタベタイ」

「マッマ。ボクモ〜」


 春香のエプロンの裾を悠助と俊洋がツンツンと引っ張る。


「ふふふ。そう言うと思った。じゃあ、悠助は俊洋の分の椅子を運んであけてくれるかな? クマさんの椅子、分かる?」

「ハァ〜イ」


 悠助はテッテッテと階段下の物置に走っていく。


「俊洋はこれをお兄ちゃん達に持っていけるかな?」

「アイ」


 春香はレンジで温めたお絞りを籠に入れて俊洋に持たせた。ウッドデッキのドアを開けてやると、テッテッテと走っていった。


 春香は凱央達のお庭キャンプ計画を聞いてから買い求めたお子様ランチ用の皿を出し、目玉焼きを乗せたハンバーグやタコさんウインナーなどを盛り付けていく。


「うわぁ〜。おこさまランチ〜」

「トキくんママ。おにぎりかわいいね」


 テーブルの上に華やかなお子様ランチが四つ乗っている。


「凱央はお茶のポット運んでくれる? 尚道くんはカップを運んでね。運び終わったら、お皿を運んでね」

「はぁ〜い」

「わかりました〜」


 尚道は普段からお手伝いしていると聞いていたから、春香は自分の子供のように接する事が出来る。


 彩葉は、尚道が農業大学に行った時に困らないように家事を一通り教えたいと言っていた。だから、お手伝いをさせて家事に触れる機会を増やしていると言っていた。


 凱央達とお皿を運び、子供達の『いただきます』の声が響く。


「クマさんおにぎり、オムライスだぁ〜」

「チーズもはいってる〜」


 お庭キャンプの前に開催されたお庭ピクニックは子供達に大好評で、気がつけば悠助と俊洋も競馬中継が始まるまで外で遊んでいた。







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