843話
12月25日(月曜日)
毎年恒例の凱央と純也の誕生日会、忘年会、クリスマス会の合同の会が雄太宅で賑やかに開催されている。
いつもと違うのは鈴掛が新婚旅行へと行っている事だ。今頃、二人仲良く飛行機に乗っているだろう。
「凱央、ソル。誕生日おめでとう」
「一年間お疲れぇ〜」
「凱央、おめでとうな」
「アリガトウ〜。カンパイ〜」
「オニイチャン、オメエト」
「ニィニ、メート」
雄太達はシャンパンを高くかかげ、凱央達はお気に入りのリンゴジュースで乾杯する。
「雄太くん。リーディングおめでとう」
「ありがとう、春香」
二人でも乾杯する。
「雄太は今年もリーディングかぁ〜」
「俺、今年も雄太に追いつけなかった」
純也も梅野もリーディングは上位である。それ自体は凄い事なんだが、それでもやっぱりリーディングトップになりたいのだ。
「雄太。今年で何回目だっけ?」
「ん? 六回目だな。でも、勝率は去年のほうが良かったんだよ。だから、来年はもっと頑張らなきゃな」
「そんな事したら、俺は雄太に勝てないじゃないかぁ〜」
雄太達の話を春香は嬉しそうに笑いながら聞いている。子供達はマクマクと美味しそうに食べていた。
「ママ。コレ、オイシイネ」
「うん。美味しいね」
「マーマ。ポテトタベル〜」
「はいはい」
「マッマ。ケーキホチィ」
「ケーキは、もうちょっと後ね?」
雄太達の話を聞いているのに、子供達の話を聞いて世話をしている事に、雄太達は感心していた。
「春香、代わろうか?」
「大丈夫。話してて。雄太くん達の話を聞いてるの楽しいから」
雄太の申し出をにこやかに断り、子供達と楽しそうにしている姿は母親そのものだ。
しかも三人の子供達一人一人をちゃんと相手をしているのだから、母親とは凄いなと雄太だけでなく純也と梅野ニコニコとしてしまう。
「あ、オツマミ足りなかったら言ってくださいね。作りますよ」
「サンキュっす。俺、春さんのキンピラ食いたいっす。おっちゃん一押しのキンピラ。もちろんあったらっすけど」
「ありがとう、春香さん〜。俺も俺も〜」
「キンピラありますよ。持ってきますね」
春香はスッと立ち上がってキッチンのほうへ行く。
「良いなぁ〜、雄太は。本当、良い奥さんもらって」
「何だよ、今更。俺の春香は世界一の妻なんだ。当たり前だろ?」
純也がニヤニヤと笑いながら言うと、雄太がドヤ顔で答えた。
「くぅ〜。その余裕がムカつく。可愛くねぇ〜」
純也は苦笑いを浮かべながら、雄太をツンツンとつついた。その様子を見ていた凱央がキョトンとした顔で純也のほうを見た。
「ジュンニイチャン」
「ん? なんだ? 凱央」
「パパハ、カワイイホウガイイノ?」
「ブホッ‼」
凱央の言葉に純也は目を真ん丸にして、雄太は思いっきりむせ返った。
「ゴホッ‼ ゴホッ‼」
「ゆ……雄太くん。大丈夫?」
「だ……大丈夫……。ゲホッ‼ ンンッ」
手にしていたキンピラゴボウの入った皿をテーブルに置いて、春香が雄太の背中を擦っている。
「そうだぞ、凱央。パパは可愛いほうが良いんだ」
「ソウナンダァ〜」
意味が分からないからか、そこまで興味がなかったのか、純也の言葉に頷いた凱央はまた唐揚げに齧り付いた。
笑上戸の梅野は床で笑い転げている。
「ソル……。凱央にヘンな事を教えんなって。春から小学校に行くんだぞ? 学校で話したらどうすんだよ」
「ん? ああ、もう直ぐ小学生になるんだなぁ〜。時が経つのは早いよな」
むせた所為で涙目になった雄太に言われて、純也がしみじみと言う。
ゼイゼイと息をきらしながら、起き上がった梅野は凱央を見る。
「もう小学校に行く歳なんだなぁ〜」
「梅野さんもおっさんになる訳っすよね」
サラッと言った純也に、梅野は頬を引きつらせる。
「お前なぁ〜。俺がおっさんって事は、同い年の春香さんはおばさんだって言ってるのと同じだぞぉ〜?」
「へ? 何言ってんすか。春さんは可愛いからお姉さんっすよ」
呆れたように言う純也に、梅野は同い年だと食い下がっている。
相変わらず雄太宅は賑やかである。




