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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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836話


 9月19日(月曜日)


「うわぁ……。忍さん、綺麗だね……」

「ああ。良い天気で良かったな」

「うん。鈴掛さんも素敵……」


 今日は鈴掛と婚約者の忍の結婚式である。琵琶湖に近いホテルでのガーデンウェディングだ。身内と仲間内だけの小さな結婚式をする事に決めた鈴掛と忍は幸せそうでキラキラと輝いて見える。


(鈴掛さん、結婚式を迷ってたけど、やっぱり嬉しそうだな)


 そして、今日は凱央達は大役が任命されているのだ。その事で雄太と春香もドキドキしている。


「ヤバい……。俺、心拍数が半端ない……」

「雄太くんも? 私もドキドキが止まんない……」


 こう言う時は、親のほうが緊張するのだなと雄太は思っていた。


(凱央、悠助、俊洋。頑張れよ)


 艶のある黒いタキシードの鈴掛と真っ白なウェディングドレス姿の忍はたくさんの花が飾ってある一段高くなっている所に立っている。そして、凱央達は鈴掛達の真正面の離れた場所に純也と待機中だ。


「では、指輪の交換です。リングボーイは鷹羽俊洋くんです。そして、花婿と花嫁に花束のプレゼントをするのは、鷹羽凱央くんと鷹羽悠助くんです」


 司会の梅野が紹介をするとパチパチと拍手が湧き、凱央達の傍に待機していた純也が俊洋の背中に手を添えた。


「俊洋。由おじちゃんの所に、それ持って行くんだぞ? 大丈夫だな?」

「ン。ライジョウブ」

「よし、行ってこい」


 ポンっと背中を叩かれた俊洋は、リングピローをしっかりと持って鈴掛達に向かって歩いていった。


 鈴掛達の前に立った俊洋は、リングピローを差し出した。


「オメエト」

「ありがとうな、俊洋。ちょっとそこで待っててくれよな?」

「アイ」


 しゃがんだ鈴掛は俊洋の頭を撫でて、リングピローから指輪を取り忍の指にはめ、忍も俊洋の頭を撫でてから指輪を取り鈴掛の指にはめた。


 盛大な拍手が湧き、純也は凱央と悠助の肩に手を乗せる。


「凱央は忍さんに。悠助は由おじちゃんに花束を渡すんだぞ。で、五人で揃って写真撮影をしたらパパとママの所に、俊洋の手を繋いで戻る。行けるな?」

「ウン。ジュンニイチャン」

「ボク、デキルヨ」

「よし、行ってこい」


 凱央と悠助は大きな花束を抱えて歩き出した。またまた大きな拍手が湧き上がる。


 鈴掛達の前に立った凱央達に司会の梅野が近づきマイクを差し出した。


「ヨシオジチャン、シノブオネェサン。ケッコンオメデトウ」

「オメエトゴライマス」


 二人の言葉に鈴掛と忍の目が潤んだ。


「ありがとう、凱央くん」

「ありがとうな、悠助」


 湧き上がる歓声と次々とクラッカーが鳴らされる。色とりどりのテープが風になびいて、手を伸ばした俊洋は楽しそうだ。


「ご褒美だぞ」


 鈴掛が俊洋に青鹿毛のぬいぐるみを手渡す。悠助には栗毛のぬいぐるみで、凱央には芦毛のぬいぐるみだ。


「アリガトウ」

「アリアト」

「アート」


 花束を抱えた鈴掛達とぬいぐるみを抱えた凱央達五人で揃って写真を撮ってもらい、子供達は手を繋いで雄太達の所に戻った。


「よく出来たな。凱央、悠助、俊洋」

「皆、格好良かったよ。良い子だったね」


 二人で子供達を抱き締める。そんな姿を参列者達は優しい気持ちで見守っていた。


 立食パーティー形式ではあるが、あちこちにベンチが置いてある。その一つに子供達は座ってオレンジジュースを飲んでいた。ニコニコとしてはいたが、やはり緊張していたのだろう。


「ママ、オカワリシテモイイ?」

「ボクモ。ノドカワイタ」

「マッマ。ジューチュ」


 春香はニッコリ笑って頷き、スタッフにおかわりをお願いした。


「本当、大役だったもんな。チビーズ、よく頑張ったぞ」


 タイミングを間違えないように子供達に合図を出す役を担っていた純也がホッとして息を吐いてから言う。


「凱央と悠助は大丈夫って思ってたけど、俊洋も凄かったぞぉ〜」

「ン。マニイタン」


 梅野がニコニコで俊洋の頭を撫でる。俊洋はパヤッと笑っている。


 雄太も春香も、鈴掛から花束贈呈とリングボーイを頼まれた時から不安でならなかったが、大役を果たした子供達の成長を嬉しく思った。







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