811話
4月24日(月曜日)
朝食を軽く取り、雄太と悠助の合同誕生パーティーの準備を始めた。
雄太と悠助はオードブルとケーキを取りに出かけている。 リビングで春香と凱央は部屋の装飾を作っていた。
「ママ、オハナデキタヨ。ミテミテ〜」
「上手に出来たね〜」
幼稚園で覚えた折り紙の花を作る凱央は自慢気に春香に見せる。春香は厚紙に金色の折り紙を貼った王冠を作っている。
凱央は春香に似たのか器用に折り紙を折って象を作り、凱央のお古の馬の手押し車に乗っている俊洋に見せた。
「トシヒロ。ゾウサンダヨ」
「ジョタン〜」
「ソウダヨ。コレハ、トシヒロニアゲルネ」
「アチョ」
俊洋は水色の象を手に持って、ガラガラと手押し車に乗って走っている。
キッチンでは理保が嬉しそうに眺めている。慎一郎は、どうしても外せない用があると言って、悔しそうな顔をしながら出かけて行った。
「バァバ。コレ、バァバニアゲル」
「あら、バァバにくれるの」
膝をついた理保に、凱央は折り紙で作った輪っかに同じく折り紙の花を付けたネックレスをかけた。
「バァバ、ニアウ〜」
「ありがとう、凱央」
凱央は理保に頭を撫でてもらい、リビングに戻った。嬉しそうな理保の姿に春香も嬉しくなった。
雄太と悠助が戻ってきたリビングには、 折り紙の輪っかや折り紙の花を飾り付けてあり、悠助はキャッキャと喜んでいた。
「オ〜、キレ〜」
「このお花や象さん達はお兄ちゃんが作ってくれたんだよ」
「ニィニ、アリアト〜」
悠助は凱央にギュッと抱きついた。意味が分かっていないだろう俊洋も凱央に抱きついていた。
雄太は冷蔵庫にケーキをしまいながら、一塊になっている子供達が可愛くて笑いが止まらなかった。
「ほらほら、雄太くん。早く座って。今日は雄太くんのお誕生日会でもあるんだから」
「ああ」
春香は悠助に王冠をかぶせながら雄太に声をかけた。悠助はニコニコと笑っている。
雄太が座ると春香は雄太の頭にも王冠を乗せた。
「お、悠助。パパとお揃いだな」
「ウン。オトロイ〜」
「じゃあ……。雄太くん、悠助。お誕生日おめでとう〜」
「ありがとう、乾杯」
「アイアト、タンパイ〜」
春香も理保もほんの少しだけシャンパンで乾杯をした。
子供達は、最近お気に入りの長野産のリンゴジュースだ。凱央と悠助は自分のコップをしっかりと持って乾杯をする。俊洋はベビーマグで乾杯をしてご機嫌だ。
「悠助、美味しい?」
「オイチィ〜」
悠助は大好きなグラタンコロッケを嬉しそうに食べている。
「悠助もお箸上手に使えるようになったわね」
「ウン」
まだ細かい物は上手く掴めない時もあるが、凱央と同じように箸を使いたがり、日に日に上手く使えるようになった。そんな成長も嬉しいものである。
「ンマンマァ〜」
「俊洋はフライドポテト好きだな」
「ン」
俊洋はフライドポテトをフォークで刺して食べていたが、だんだんと手掴みになりながらモッシャモッシャと口に運んでいる。
理保は微笑ましい姿にニコニコと笑っていた。
「雄太もよくフライドポテトを食べてたわ」
「そうなんですか?」
「ええ」
雄太にも記憶がしっかりとある。慎一郎が忙しくしている現役の頃、純也の両親が一緒にハンバーガーショップやファミレスなどに連れていってくれていたのだ。
「ソルのお父さんって、俺もソルも同じように扱っててくれてさ。イタズラしてゲンコツもらったりもしたけど、本当に優しい人なんだ」
「そっかぁ〜。今も優しい人だもんね」
子供の頃から可愛がってくれていたから、純也の父が体調を崩した時も何度も見舞いに行ったり、今も雄太だけでなく春香も仲良くしている。
純也が新しく家を建ててやりたいのだと言った時に、設計士や建築士を紹介した雄太に、純也の父母は感謝していたがそれは雄太なりの恩返しであった。
「ママ、コレタベテイイ?」
「ボクモタベユ」
「はいはい」
春香が器にウズラ卵のフライを串を外して入れてやる。それを美味しそうに食べている姿を、雄太も理保も優しい目で見守っていた。




