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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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773話


 12月26日(月曜日)


「メリークリスマス‼ 凱央、純也。誕生日おめでとうっ‼」

「一年間お疲れ様ぁ〜‼ 雄太。リーディング一位おめでとうぉ〜‼」


 雄太宅では恒例の凱央と純也の誕生日とクリスマスと忘年会と雄太のリーディング一位おめでとう会がおこなわれていた。


 鈴掛には彼女を優先させて欲しいと言ってある。結婚をすれば忙しく、心配の多い生活が始まるから、独身の内に二人の時間を楽しんで欲しいとの後輩達の心遣いに、鈴掛は照れ笑いを浮かべていた。


「今年の一番は、雄太がフランスG1獲った事だよな」

「そうだよなぁ〜。アレは、もう最高ぉ〜って感じだったぞぉ〜。俺、マジで震えたもんなぁ〜」


 シャンパンを呑みながら、純也も梅野も楽しそうに話す。


 雄太も嬉しそうに笑う。


「俺も感動したし、最高だって思ってる」

「私も思ってるよ。雄太くん、最高だなぁ〜って思ってるし、世界一格好良いって」


 純也と梅野が照れもしないで言う春香を見てから雄太をマジマジ見ると、ニマニマデレデレと笑っていた。


「ンマンマァ〜」

「あ、はいはい」


 春香はデザートのフルーツの皿から、イチゴを小皿に取り小さく切ってやり、プラスチックフォークに刺してやる。


 俊洋はフォークを握り口に運ぶ。


「チビーズは本当にイチゴ好きなんだな」

「だよなぁ〜」


 純也も梅野も、大盛りのフルーツの盛り合わせからイチゴが凄い勢いで減って行くのを見て笑っている。


 子供達がイチゴ好きなのを分かっていて、イチゴを多めにしてもらったのだが、足りないかも知れないと雄太は思っていた。


「パパ、コレモオイシイ」

「そうか。良かったな」


 凱央はキウイフルーツを齧って笑っている。しっかり熟しているキウイフルーツは甘く美味しいのか、悠助もモグモグと食べていた。


 だが、やはりイチゴが良いみたいで、イチゴが一番減っていた。


 俊洋の世話をしていた春香が、ふと純也のほうを向いた。


「あ、子供達はそろそろお腹がいっぱいみたい。雄太くん、子供達をお願いするね」

「ん? あ、そうか。分かった」


 雄太が笑って頷いた。純也と梅野は不思議そうな顔をしてキッチンへ向かった春香を見ていた。


 冷蔵庫を開けたり何かやっているのが見える。


「ソル。まだ食べられるよな?」

「え? あ、うん。まだまだ食えるけど……?」

「春香がお前に誕生日のお祝いをしたいって言ってたんだ」

「お祝い……? いや、お祝いはしてもらってるだろ?」


 しばらくするとジュワァーと揚げ物を揚げる音がした。


(え?)

「もう少し待っててくださいね」


 春香が明るく声をかけると、雄太はニコニコと笑いながら俊洋の相手をしていた。凱央と悠助はご馳走様をしてリビングの隅で遊んでいる。


 純也はクンクンと匂いを嗅いでいる。


「これ……唐揚げの匂いだ」

「え? 純也ぁ〜。お前匂いで分かんのかよ?」

「分かるっすよ。分からないほうがおかしいっす」


 純也はドヤ顔で拳を握り締めて力説をする。


 そこに春香がバットを持って近づいてきた。その手にあったのは唐揚げの山だった。


「お待たせしました」

「やっぱりっ‼」

「え?」

「唐揚げの匂いがしてたっすっ‼」


 純也の目がキラキラと輝く。


「マジで唐揚げだぁ……」


 梅野は目を丸くして、バットの上でチリチリと音を立てる唐揚げを見詰めた。


「しばらくレースないし、ソルが一番喜ぶものをプレゼントしたいって事で唐揚げになったんだ」

「春さんっ‼ 感謝っすっ‼」


 雄太の言葉を聞き終わった純也は、バットを持つ春香の手を握ろうと思ったが、唐揚げを持ったままでは大惨事になるかと思って自重した。


「熱いから気をつけてくださいね」


 春香がバットのままテーブルに置くと、純也は大きくコクコクと頷いた。


「後、オツマミになるような物を準備しますね」

「ありがとう、春香さん」

「サンキュっす、春さん」


 熱々の唐揚げを頬張り、純也は大満足をしていた。


 雄太や梅野もフライドポテトやカルパッチョをつまみながら、夜遅くまで呑み明かし語り明かしていた。







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