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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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番外編 凱央と悠助のクリスマス


「ユースケ。コレヲ、コウヤッテカザルンダヨ」

「アイ。ニィニ」


 凱央はオーナメントが入っている箱から一つ手に取ると、悠助に手本を見せるようにしながら枝に紐をかける。


 悠助は頷いて同じように飾っていく。既に電飾には光が灯っていて、キラキラと輝いている。


「コレハ、サンタサンダヨ。プレゼントモッテキテクレルカナァ〜」


 サンタクロースのオーナメントを見て、凱央はクリスマスプレゼントに思いを馳せる。


「プエゼント〜、プエゼント〜」


 悠助も楽しそうにオーナメントをフリフリとした後、枝に紐を引っ掛けた。


 雄太宅の庭に植えてあるモミの木は、また少し大きくなっていた。あまり大きくすると世話やオーナメントの飾り付けが大変だろうと言う事で、大きくなり過ぎないように刈り込んでもらっている。


 上部には、リンゴやプレゼント型などのオーナメントが飾ってあり、凱央と悠助は下段の飾り付け担当だ。


「ニィニ、ンマタン」

「ソレハ、トナカイサンダヨ」

「ンナカイ?」

「ソウダヨ。サンタサンノソリヲヒッパルンダヨ」


 悠助は手にしたオーナメントを凱央に見せる。凱央は説明したが、悠助には少し難しかったのか、キョトンとした顔で凱央を見ている。


「ア、ユースケ。ユキダヨ」

「オ〜。ウキフッチェキチャ」


 積もる程ではない雪であっても、子供達には嬉しいものだ。チラチラと舞う雪に凱央と悠助は庭に駆け出した。


「キレ〜」

「ニィニ、ウキキエチャ」


 ふわりと悠助の手の平に乗った雪はスゥ〜っと消えていく。凱央も手を伸ばして雪を受け止めた。


 小さな小さな空からの贈り物は儚く消えてしまう。


 カッカッカッ


 ひずめの音がして、凱央が視線を向けるとアレックスが歩いてきた。


「アウ〜」

「アウ……?」


 凱央はアレックスに向かって駆け出した。アレックスは立ち止まり首を下げる。


「アウ、ゲンキダッタ? ボクネ、ヨウチエンニイッテルンダヨ」


 小さな手がアレックスの鼻に届く。アレックスは膝をおり、地面に座った。


「アウ、イイコイイコ。ユースケ、アウダヨ」


 凱央は振り返り立ち尽くしていた悠助に手招きをする。悠助はソロソロとアレックスに近づいた。


 そっとアレックスに手を伸ばして鼻先に触れる。


「ユースケ。ヤサシクヤサシク、ナデナデスルンダヨ」

「ン、ニィニ」


 悠助は凱央の言う通りに、優しくそっとアレックスの顔や鼻を撫でた。


 凱央と悠助に撫でられているアレックスのたてがみや背中にも雪が付着する。


 それを凱央は優しく手で払ってやった。


「アウ。ボクネ、モモチャンニ、ジョウズニノレルヨウニナッタンダヨ。アウニモ、ジョウズニノレルカナ?」


 そう言って凱央はンショとアレックスの背に跨った。


「アウノセナカハオッキイネ。パパノセナカミタイ」


 ポニーと比べれば、サラブレッドの背中は広く大きいだろう。


 凱央は跨ったまま、首筋をポンポンと叩く。それは雄太のレースを見て覚えた仕草だ。


「アウ。ユースケモノッテイイ?」


 アレックスは頷くように首を少し上下させた。


「ユースケ。アウガ、ノッテイイッテイッテルカラオイデ〜」

「アイ、ニィニ」


 悠助は撫でていた手を止めて、凱央のほうへ向かった。


 アレックスの背は、悠助にすれば高かったが上手く登れた。


「オォ〜。ンマタン〜」


 アレックスは凱央達を落としてしまわないようにそっと立ち上がった。いつもと全く違う目線に目を丸くする凱央と悠助を乗せて、クリスマスツリーの周りを歩き、そして駆け出した。


「アウ、ハヤ〜イ」

「ハアイ、ハアイ〜」


 雪の舞う庭を思いっきり駆け回り、次第に空へと舞い上がった。いつしか、キラキラときらめくクリスマスツリーは小さくなり、凱央と悠助を乗せたアレックスは雪の舞う栗東の空を駆け回っていた。




「え? アルに乗った……?」


 起きて直ぐに身振り手振りで説明する凱央に、春香は目を丸くした。


(夢……だよね? もちろん……)


 外には薄っすらと雪が積もり、クリスマスの雰囲気を高めていた。






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