表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/740

77話


『市村さん、仕事終わりなんですよね? 早く夕飯食べて休んでくださいね?』


 雄太が通話を終えようとしているのを感じ、春香は 少し淋しく思った。


 だが、雄太も疲れているだろうし、早く休んで欲しいとも思った。


(あれ? 私、何で淋しいなんて思うんだろ……?)

「鷹羽さんもです。お疲れ様でした。良い報告が聞けて嬉しかったです。じゃあ、明日10時に店の近くの神社で会いましょう」

『分かりました。10時に神社ですね』

「楽しみにしてます。じゃあ、おや…… あっ‼ じゃなくて」


 春香が焦ったように言うと、雄太は

『市村さん? どうかしたんですか?』

と訊いた。


「ごめんなさい。言い忘れてました。無事レースが終わって良かったです」


 春香の言葉を聞いて、雄太は自分の無事を祈っていてくれたのだと思うと嬉しくなった。


(市村さんは、本当に優しい……。俺の無事を喜んでくれるんだ……。騎手が 危険な仕事だって、分かってくれてるんだ……)


『はい。無事、怪我もなく走り終えました。ありがとう、市村さん。じゃあ、また明日。おやすみなさい』

「おやすみなさい。鷹羽さん」


 春香は、雄太が受話器を置いたのを確認して、そっと受話器を置いた。


 そして、テーブルの上に置いていた色紙に目をやった。


(おかしいな……。私、何でこんなに待ち遠しかったんだろう……? 待ってたのは、たった一週間だったのにな……)


 どう考えてみても、全く分からなかった。


(変な私……。とりあえず、早く用事を済ませようっと。明日、晴れたら良いなぁ〜)


 春香は、ウキウキとしながら夕飯を作り始めた。



✤✤✤



 翌3月9日月曜日


 スッキリと晴れた空と同じく、スッキリとした気分で雄太は目を覚ました。


 昨夜の電話を思い出すと自然に顔が緩む。


(市村さんに会える……。初サイン…… って言って良いか分からないけどサインもらってもらえるんだ……)


 軽く朝食を済ませると、雄太は鈴掛に『用事があるので、店には直接行きます』と、電話をしてバスで草津へ向かった




(ん〜。おかしくない? 大丈夫?)


 春香は何度も何度も鏡を見ていた。


 前髪を直し、お気に入りのリボンを整える。


そして 次の瞬間には

(私、バカなの……? デートでもないのに……)

と落ち込んだ。


 雄太に会える。


 昨日も言ったが初勝利のお祝いを直接言える。


 サインをもらえる。


 ただそれだけなはずなのに、胸はドキドキと高鳴っていた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
いやあ二人ともいいですねえ! お互い会えるのが楽しみですよね( *´꒳`* ) デートという肩書きではないかもですがこれはデートでしょうw でも二人にとってとても新鮮でドキドキするもの。 いい時間を過…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ