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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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769話


 祝勝会も終盤となり、雄太と春香は舞台へと上がった。


 雄太はマイクを手に一礼をした。斜め後ろに控えていた春香も礼をする。


「皆様、本日はお忙しい中お集まりいただきありがとうございました」


 雄太と春香は深く一礼をする。


「初めて海外で騎乗させてもらって勝てなかった時に、次は必ず勝つと思い続け、今回ようやく勝てて諦めない事が大切なんだと心の底から思いました」


 雄太は会場を見回した。純也達や先輩や後輩、慎一郎達も直樹達、調教師達が優しい笑顔を向けてくれている。


「これからも仲間達と切磋琢磨して技術を磨き、妻に支えてもらいながら、家族を大切に精一杯頑張っていきます。今後共よろしくお願いいたします」


 雄太と春香は深く深く一礼をした。会場が温かい拍手が巻き起こった。


「では、ここで鷹羽騎手の大切なお子様達から花束のプレゼントです」


 司会の声に皆の視線が会場隅で花束をかかえた凱央達にスポットライトが当たった。


 にこやかに堂々している凱央と少し緊張した顔の悠助が大きな花束を持って歩いてきた。


 そして、スタッフが手を添えてもらい舞台に上がった。そのスタッフがマイクを凱央に差し出した。


「パパ、オメデトウ。カッコイイパパハ、ボクノジマンデス」

「パーパー、オメェトゥ」


 雄太は膝をついて子供達からの花束を受け取り抱き締めた。


 そこに、慎一郎が抱いた俊洋が近づいた。俊洋の手にも小さな花束があった。


「ダダダァ……ウバァ……」

「俊洋……。ありがとうな」


 立ち上がった雄太は俊洋を抱き締めた。俊洋は両手を雄太に差し出し、雄太は俊洋を抱っこして、春香と子供達共に深く頭を下げて祝勝会はお開きになった。




 雄太のフランスG1祝勝会は大盛り上がりで終え、雄太と春香は招待客のお見送りをした後、ホッと息を吐いて顔を見合わせて笑った。


「良い会だったね」

「ああ。また海外で重賞勝って、祝勝会するからな」

「うん。雄太くんの祝勝会は何度やっても嬉しいよ」


 多少なりとも緊張していた春香は屈託のない笑顔を雄太に向け、雄太は春香の肩を抱いた。




 後日、雄太の祝勝会は特番として放送された。


 春香は番組をリアルタイムで見ながら録画をしていた。


「雄太くん、格好良い」

「そ……そうか?」


 俊洋を抱っこしてうっとりとテレビを見ている春香は、雄太の顔を見上げてニッコリと笑う。


 そして、画面がフランスでのレース映像へと切り替わると、子供達はいつものようにポンポンをフリフリしながら応援をし始めた。


(……これが、いつもの応援スタイルなんだな。てか、俺はここにいるんだけどな)


 チラリと隣を見ると春香も目を輝かせてテレビを見ている。


「パパァ〜、ガンバッテェ〜」

「パーパー。バンバエ、バンバエ〜」

(……お〜い。パパはここだぞぉ〜)


 雄太は苦笑いを浮かべながら、足を踏み鳴らして応援している可愛い子供達を見守っていた。


「パパ、カッタァ〜。パパ、カッタネ」

「パーパー、オメェトゥ」


 ゴールした後、インタビューをされている雄太を見て子供達は駆け寄ってくる。その姿が可愛くて雄太は二人を抱き上げた。


「ありがとうな」

「ウン」

「ン」


 テレビは祝勝会での純也達のインタビューを流していた。


 『後輩としてデビューから見てきましたが、怖いぐらいに成長をしてきて小憎たらしいぐらいですね』


 『これだけ勝っても天狗にならず、日々の努力を怠らない後輩ですねぇ〜。いつの間にか追いつかれて、今や良いライバルですねぇ〜』


 『子供ガキの頃からカッケー奴だって思ってたっす。負けらんねぇ〜って思わせてくれるスゲェー親友っす』


 にこやかに話す純也達の顔には優しさとライバルとしての顔が見え隠れしていた。


「あ、ねぇ」

「ん?」


 春香はツンツンと雄太の服の裾を引っ張った。


「あのね、鮎川さんにこのレースの録画もらう約束してるから、ラベルにサインしてね?」

「え? いつの間に……」


 満面の笑みで雄太のサインをねだる春香に目を真ん丸にしてしまった雄太だった。






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