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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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748話


 4月25日(月曜日)


 朝食を済ませた春香は洗い物をし、パーティーの準備をする為に雄太はリビングテーブルやソファーを移動させていた。


 凱央達は春香の部屋にオモチャを持ち込み大人しく遊んでいる。俊洋はベビーベッドでウバウバと話している。


「ニィニ、ンマタン」

「ソウダヨ。アルダヨ」


 雄太がそっと覗き見ると、凱央はクレヨンで灰色の馬の絵を描いている。


(おぉ……。上手くなってる……)


 前に似顔絵を描いてくれた時より格段に上手くなっていた。


「ントネ、ユースケカイテアゲル」

「ン」


 凱央は悠助の似顔絵を描いてやり、悠助はニコニコと笑っていた。




 しばらくして純也が手伝いに来てくれ、その後鈴掛達がケーキなどを持ってきてくれた。


「悠助、誕生日おめでとう」

「おめでとうなぁ〜」

「悠助、おめでとうな」

「アイアト、アイアト」


 鈴掛達に口々におめでとうと言われて、悠助はニコニコと笑っていた。


「ンバァ……アウアウ……」

「ユースケ。トチヒロモ、オメデトウイッテルヨ」

「トチヒロ、アリアト」


 凱央の通訳してもらった悠助はニコニコと笑い、俊洋の頭を撫でた。


「相変わらず凱央の通訳能力は凄いな。俺、全くわからねぇ」

「俺も全く分かんないなぁ〜」


 純也と梅野が目を丸くしながら凱央を見ていた。


 たくさんのご馳走を並べてやると、子供達はキャッキャと声を上げて喜んでいる。


「パーパー、コエタベユ」

「ハンバーグか。後は?」

「インジン」

「……おぅ……」


 雄太は悠助のリクエスト通りにハンバーグと人参のグラッセを小皿に取り分けてやる。


「アリアト」


 悠助は小さく切ってもらい、モグモグと食べる。その様子を見て、純也がニヤリと笑う。


「悠助は良い子だな。好き嫌いなくて」

「……ソル。帰るか?」


 純也が何を言わんとしてるのか分かった雄太はジト目で睨む。春香は下を向いてクスクスと笑っている。


「パーパー、オイチイ」

「そ……そうか。良かったな」


 フォークに刺した人参を食べた悠助が満面の笑みで雄太に報告をすると、鈴掛と梅野も涙を流して爆笑した。


「マタチタン、ヨシオジチャン。タノシイ?」

「ブッ‼ ああ。悠助のお誕生日……だからな」

「ブフッ‼ 凱央も……良い子だなぁ〜」


 キョトンとした顔で訊ねる凱央が箸でつまんでいたのが人参のグラッセだったので、純也達は笑いが止まらなくなり、しばらく腹を抱えて笑っていた。


 雄太は頬をヒクヒクと引きつらせながら、子供達が美味しそうに人参を食べているのを見ていた。




 雄太は鈴掛と梅野が買ってきてくれたフルーツたっぷりと乗ったケーキにローソクを二本立ててやった。


 主役の悠助も、凱央も目がキラキラと輝いている。


「パーパー、ケーキ」

「ああ、美味しそうだな」

「ン」


 ローソクに火を点けてやり、ハッピーバースデーを歌ってやる。一番大きな声で歌っていたのは凱央だ。


「ユースケ、オメデトウ」


 そう言って凱央がバルーンアートの花束を手渡す。鈴掛と春香が作った物だ。


「ニィニ、アリアト」

「ユースケ、イイコイイコ」


 大好きな凱央に撫でられ、悠助は嬉しそうに笑う。


「悠助、フーってするんだぞ?」

「ン。フー」


 雄太に言われてローソクを消した悠助に、皆がパチパチと拍手とするとパァーっと輝く笑顔を見せた。


 ケーキをカットしてもらい目の前に置かれると、嬉しそうに笑いながらケーキを頬張った。凱央もパクパク食べていたが、イチゴをジッと見てから春香を見る。


「ママ。トチヒロ、イチゴタベラレル?」

「ん〜。まだ駄目かな」

「ウン。ワカッタ」


 少し残念そうにする凱央の優しさに雄太達はほっとして、春香のほうを見た。


「凱央は優しいな」

「優しいところは雄太くん似だよね。そっくりで嬉しいな」


 無邪気に言われて、雄太の顔は一気に赤くなる。


「雄太、良かったな。てか、茹でダコみたいだぞ?」

「う……うっさいっ‼」


 純也にからかわれ、更に雄太の顔は赤くなる。鈴掛と梅野は必死で笑いを堪えていた。







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