表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/641

4話


 大人二人がヒソヒソと話しているのを見ると、雄太の不安は更に増して行った。


(先生は全治一ヶ月なんて言ってたけど、本当はもっと悪いんじゃ……。俺 もう馬に乗れないんじゃ……)


「雄太。ほら コーヒー買って来たぞ。飲むだろ?」


 青い顔をして黙っている雄太に純也は缶コーヒーを差し出す。


「ソ……ル……」


 押し寄せる不安と焦り。


 そして絶望を感じさせる痛み。


 喉がカラカラなのに気付くが飲む気にもなれず、受け取った缶コーヒーを両手で包み込む。


「サンキュ……」


 雄太は親友が精一杯気遣ってくれているのを感じ少し笑った。


 慎一郎は、ようやく顔を上げた息子にホッとした。


 甘やかすつもりはないが、来月やっと十八歳になる雄太には辛い現実だろうなと思う。


(鍼灸で何とかなるか……?)


 少し悩んで、ふと思い出した。


「なぁ鈴掛。お前や若い連中が、草津に神の手を持つ人が居るとかどうとか言ってなかったか?」

「あ……そうか」


 鈴掛は呟くとポケットから財布を出して、ゴールドのラインが入ったカードと淡いラベンダー色の名刺を出した。


東雲しののめマッサージ 市村いちむら春香はるかA1263202』


「市村 春香……。女性なのか」


 慎一郎は名刺を覗き込む。


「ええ。若い子ですが腕は確かです。俺も治して貰いましたよ。ただし、今日居るか分からないし、今から行っても見て貰えるか分かりません。そもそも営業時間ギリギリですし……」

「とりあえず電話して貰えるか?」


 慎一郎の頼みでは断れるはずもない鈴掛は公衆電話に向かう。


(神の手……。胡散臭いとは思ってたが、鈴掛が言うなら大丈夫だろう)


 そう思いながら打ちひしがれている息子の元へ向かった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ