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君と駆ける······  作者: 志賀 沙奈絵


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46話


「阪神競馬場……? それって、どこにあるんですか?」

「兵庫県の宝塚市って所ですよ。市村さん、競馬見た事あります?」

「ん~。待ち合いのテレビでやってるのをチラッと見た事はあるんですけど、ちゃんと見た事はないんですよね」

「女性って、そう言う方が大半じゃないかなぁ~」


 そう言って、雄太は紙コップに入ったコーヒーを一口飲んだ。


 最終チェックが終わった後、春香が

「ちょっと失礼しますね」

とVIPルームを出て行き、しばらくして紙コップを両手に持って戻って来た。


「はい。どうぞ」

「え? これは?」


 マッサージ店で コーヒーが出て来るとは思ってなかった雄太が訊く。


「ゆっくりお話したいと思って。従業員用のなのでインスタントなんですけどね。ブラックで良かったですか?」

「ありがとうございます。いただきます」


 コーヒーを飲みながら色々と話していたが、やはり話題は競馬に移って行く。


「デビューの日って3月1日でしたよね? レースって一日にいくつあるんですか?」

「12レースですよ。俺は4レースと6レースと8レースと12レースに出ます」

「そんなに?」


 春香は目を丸くした。


(よしっ‼ お願いしよう)


 雄太は気合いを入れた。


「あの……市村さんに時間の余裕があったらで良いんですけど、俺の初騎乗を見てもらえませんか?」

「見たいですっ‼」


 春香が間髪入れずに答えた。


「あ……。忘れちゃったら困るからメモしてもらっても良いですか?」

「もちろんです」


(返事、スゲェー早かったんだけど。可愛いなぁ……)


 春香は、デスクに紙コップを置いてメモ帳とボールペンを手に取ると

「お願いします」

と雄太に差し出した。


「あ、コーヒー持ちますね」


 雄太は頷いて紙コップを春香に手渡し、メモ帳とボールペンを受け取った。


そして、ゆっくり丁寧に出場レースを書いていく。


〖3月1日 日曜日 阪神 4R 6R 8R 12R〗


(うん。間違えてない。市村さんに レース見てもらえるんだ……。嬉しいな。時間に余裕あったら……だけど……)


 二度見直して、春香にメモ帳とボールペンを手渡した。


「ありがとうございます」


 春香は手渡されたメモ帳とボールペンをデスクに置くと

「あ……」

と小さく呟いた。


「どうかしたんですか?」


 雄太が訊くと、春香は 困ったような顔をして振り向いた。







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― 新着の感想 ―
おおっ!! 春香さんとのいい時間。 これは雄太も嬉しいですね! そんな雄太はスケジュールを話す。 デビュー戦を見てもらえるかもと意気込んじゃいますよね! でも一日にそんなにレースにでるとは俺も驚きまし…
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