三話
午後の仕事も定時上がりで無事恙無く終え、帰宅する準備をする。
愛にはお迎えに望が来ることになっている。
これも事前に決まっていること
社長もそのことは知っている。
それは、入社した時からのお迎えに来るようになっていたので、社員からはいつものことだから日常になっていた。
見慣れていると、感覚が鈍っていく
新入社員がその中に入っていくなんて思いもしなかったのだ。
「愛、迎えにきたぞ!」
「望お兄ちゃん」
駆け寄る愛に笑いかける望はいい兄弟である。
周りにいる社員たちはほっこりしていた。
そんな時、明がやってきた。
「笹田さんはいつもお迎えに来る人がいるんですね〜。楽できて羨ましいな〜」
どうやら嫌味を言いにきたようだ。しかし、望は目が笑っていない笑顔を貼り付けてこういった
「どうやら躾がないっていない後輩がいるみたいだな。俺になんかようか?」
仕事モードに入ってしまった。
流石の愛もこれはやばいと感じ、望を止めようとする。
「望兄さん」
「わかった!もう何も言わない!」
ちょっと凄んだだけで、兄である望は怯えている。
普段怒らない愛が凄んだだけでこうなるのは過去にやらかして怒られたことがあったから
それ以来、愛を怒らせてはいけないと家族では暗黙になっている。
このやりとりを見て、明は愛を怒らせてはいけない人と認識したのであった。
「じゃあね、明くん。また明日!」
そういって愛はバイクの後ろに乗り、望に「出して」と告げ、帰宅したのであった。
その日の夜、愛が寝静まった夜のことーー
今日の出来事を兄である歩に話していた。
「全く望はわかっていないね。愛を怒らせてはいけないってことを」
「頭では理解しているんだ。ただまだそこまで加減が出来ない」
どうやら今日のことを悔やんでいるよう
やっていけないことだとわかっていてもやってしまう、そんな状況であることだと
「理解していても愛の前でやっていけなかったね。それが分かればいいじゃないかな」
「わかった、次から気をつける」
望と歩は見つめあっている。
ここからは兄弟から恋人の関係へ変わる。
ここにて、やっと序章の話が終わりとなります。
結構書くのに時間をかけすぎました。ここまでで半年を使うとは
筆が進まないというより仕事があるので、なかなか書く時間もなく、執筆の勉強もしているからなんですが、流石に遅すぎですよねー。
次回更新は来年になります。読んでいただきありがとうございます。