妻の命と引き換えに生まれてきた娘を心から愛せない俺は親失格だ!
俺の妻は、体が弱く娘を妊娠した時に医者が俺と妻にこう言った!
『ひょっとしたら? 母子共に命の保証ができるかどうか、、、?』
『先生! そう言わずに妻も子供も助けてください!』
『全力を尽くしますが、もしもの為に先に謝っておきます。』
『・・・先生、』
『貴方、きっと大丈夫よ! 私も子供も助かるわ!』
『・・・でも?』
『大丈夫!』
『・・・・・・』
・・・そう言って妻は、子供を産んで直ぐに息を引き取った。
あの時、医者が言った通りになる。
俺は心から妻を愛していた!
なんなら? “子供よりも妻を助けてほしかったぐらいだった。”
でも、妻が最後に俺にこう言った事を思い出す。
『私が死んでもこの子だけは絶対に無事に産みたかった。』
『・・・わ、分かった、もう話さなくていい! だから、死なないでくれ!』
『この子の事、お願いね!』
『あぁ、分かったから、もう話すな、』
『今まで本当にありがとう。』
『もう喋るな! ゆっくり休んでまた元気に、』
『・・・えぇ、そうするわ、』
『・・・・・・』
・・・その後。
俺は妻が言った通りに娘を男で一つで育てている。
でも? この子の成長と共に妻の事が忘れられない俺がいた!
娘をどこかで俺は、妻が死んだのはこの子を産んだからだと思っている。
親失格なのかもしれないが、“俺は娘を心から愛せていないと知った。”
もしあの時、妻じゃなく娘が死んでいたら、、、?
ふと、そんな事まで考える俺がいたんだ。
・・・娘は俺が親として愛してくれていない事を知っているのかもしれない。
この子だって! わたしのせいでお母さんが死んだと思っているはずだ!
でも妻が宝物のように、自分の命と引き換えに残した娘。
俺が娘を愛してやれないでどうするんだ!
何度も何度も俺は自分を責めた!
『ねえ、パパ?』
『うん?』
『“わたしのせいでママが死んでごめんね。”』
『・・・な、何を言うんだ!』
『パパは本当に心からママが好きだったんだよね? それが凄く分かるから!』
『それとこれと話が違うだろう!』
『違わない! わたしが死んでママが生きてたら、パパは嬉しかったでしょ!』
『蓮香、ママは自分の命と引き換えにお前を産んで良かったはずだよ!』
『嘘よ! ママだってわたしが居なければ、』
『蓮香、全部! 俺が悪いんだ! 恨むならパパを恨みなさい!』
『・・・パパ、』
『確かに俺は葉奈を心から愛していたよ、でもそれ以上にお前の事も心から
愛しているんだ!』
『パパ!』
『寂しい想いをいっぱいさせてしまってると思う! でも、パパにこれからも
着いてきてほしんだ!』
『・・・う、うん。』
『ママの分もパパが蓮香を愛していくから、もうそんな事言わないでほしい!』
『わ、分かった。』
『“パパは、蓮香のパパで良かったよ、葉奈が命懸けで守った命なんだから!』
『・・・ううん。』
・・・初めて本音で“父親と娘で会話をしたと思う!”
今は妻の分もあの子を大事に育てていこうと心に決めた!
自分の命を懸けて守った娘を、今度は俺があの子を命懸けで
育てていこうと決めたんだ!
あの子が独り立ちするまでの間は、俺があの子を守るとね。
これで俺もやっと親らしくなったかな。
今はあの子を心から愛していると自信もついた!
俺しかあの子を守れないんだ! 俺があの子の唯一の親なんだから!
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