和菓子の詩
古めかしき
ショーケース
幼稚園帰りに
祖父に
願いて
和菓子を選ぶ
毎度二つと
決められて
悩み抜くのが
日課の 楽しみ
素甘よりは
団子にしようか
蓬に餡子
一つは決まり
次はどれかと
急かされて
結局
生菓子を
字も読めないで
コレと指差し
隣のクラスと
一緒の花
薄紫の
紫陽花を選ぶ
自転車に乗せられ
大事に抱えた
今日の間食
家に帰って
いそいそと
スモッグ脱いで
手を洗い
大きな声で
いただきましゅ
唱えたら
菓子に手を伸ばし
花から食べる
手づかみにて
形変わるが
気にもせず
ちいさな口に
頬張れば
次も次もと
呑むように
祖父に叱られ
よく噛めと
団子はゆっくり
三十噛んで
麦茶と飲んだ
小学校の
通学路では
古めかしき
ショーケース
買い食い禁止で
恨めしげに
和菓子の横を
自らの足で
通り過ぎ
いつかそれも
記憶だけが
薄れる日々よ
それでも尚
昔懐かし
団子のお味
忘れがたい