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昼と夜の交わり  作者: 泡沫
夜の3大組織
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深和派

 三大組織のマフィアと呼ぶときおおよそはマフィア全体像ではなく深和派を指す。何故なら人外や異能力者に理解があるのは深和派だけだからだ。


 マフィアという組織自体は意外と長い間存在するが、そこに人外や異能力者が関わり始めたのはごく最近だ。


 元々、マフィアは普通の人間のみで構成されていた面倒な犯罪組織であった。



 実力主義で実力なきものは出世できぬとはいえ、終身雇用制・年功序列が基本の古い組織であった。


 マフィアにおいて、いや多くの裏社会の組織において最も重視されるのは忠誠心だ。


 一度入った組織から脱退するのは至難の業。命をかけたことであると認識されている。

 つまり、長い間その組織のためにつとめ、利益をあげたものこそ忠誠心が強く実力があるとされて高い地位につけられるのだ。

 こうして裏切り者も少ない状態で組織を保ってきたマフィアだったが、栄枯盛衰、やはり力は衰え始めていた。


 暴力団が社会から追放され表立って存在することすら難しくなった。でも、追放しようとも彼らのような人間はいなくなったりしない。社会の人間の数パーセントが暴力団に加入する可能性がある人間であると仮定すると、何をしてもゼロになることはない。暴力団の追放は彼らを見えないところに隠してしまっただけなのだ。例えば、エロ本を見たい人がエロ本を見ているところを親などに見られてその行為を否定された時、彼はどうするのか。それは隠れて読むことだろう。でも、隠れて読むことすら監視カメラでも付けて監視されて禁止されてしまったら。その時彼は外に出てエロ本を読むか何か代わりになる体験をしようとするだろう。ガス抜きのようにある一定程度を認めることでそれ以上の何かを防ぐということは実際にある。もしそのガス抜きさえも禁じられたら。それがこの状態だ。暴力団・任侠組は、存在すらも否定されて、深く見えないところに隠れて、より深いところでこれまでの比じゃない犯罪を重ねていった。


 最も、マフィアは最初からそれだけの闇に潜って商売も犯罪もたくさん行なってきたが。


 彼らの犯罪はより見えなくなり把握するのも困難になっていた。どうにか、民間人への被害だけは防ぎたいものだ。と彼らの動向を把握しつつもその難易度と手間が格段に上がった状況を特諜局の面々は憂慮していた。



 だが、ある時から状況が一変した。


 突然、首領が代替わりしたのだ。


 その前触れは無かった。いや、無きに等しいとした方が真実に近しいだろうか。


 特諜局の驚きが少なかった理由は根回しがあったというだけ。根回しの前に気づけるかもしれない予兆はあった。とはいえ、予兆というのも微々たるもので、結論から考えてたどり着くものだが。


 一つ、観察対象の山から大きな妖力の消失を確認。

 二つ、調査中の案件「連続毒薬毒草消失事件」の被害が消失。

 三つ、研究室から監視対象の人間が退室届を提出。


 以上の三つだ。


 深和がマフィアの首領になり犯罪で益を得てマフィアという組織を維持・拡大しながら本当にやっていはいけないラインを守るから手を出すなというのが根回しの内容。

 特諜局は手を出さないことだけ約束をしたが、犯罪に手を出すという点から不干渉とする旨を話し、一人の局員を差し出した。


 その後、当時の首領を恐らく暗殺して首領の座についた彼は派閥を整え現最大派閥を創設し、自分とその部下がスカウトしてきた人間のみを構成員とした。首領にあやかりたいマフィア内の人間もごまんといたが誰も認めはしなかった。


 マフィアの地位は首領・最高幹部・幹部・準幹部・部隊長・隊長などたくさんあり、上記の役職には側近がつけられる。地位が高い順に並べると、首領・最高幹部・首領及び最高幹部の側近・幹部・幹部側近及び準幹部・部隊長・準幹部側近・部隊長側近…となる。派閥ごとの役職も存在する上、首領・最高幹部あたりまでは共通の地位として定められているがその他は意外と自由で、適当に名前を付けて役職や地位を増やすこともできる。ただその役職は当然ながら準幹部より上の地位に着くことはできない。ヒラの構成員は三等から一等に分けられ、それら以外になった時、ほとんどの場合派閥に所属する。つまり、ヒラの構成員は派閥関係なく動かすことができるのである。またヒラの下に最下級・最下層構成員が存在するがそれはまた別の話。


 深和派の人数は恐ろしいほどに少ない。そして平均年齢がまた恐ろしいほどに若い。


 一般的に派閥は構成人数を増やしたいと考えている。しかし、ヒラを派閥に所属させることはできない。従って、役職や地位をたくさん作り出して構成員を増やすという策をとっている。


 対して深和派は最高幹部が二名、首領側近及び最高幹部側近が三名、幹部が数名。完全に役職が余ってしまっているのだ。役職増やす必要性もなく、余ってしまっているのだ。

 準幹部は幹部になる見習い期間として一時的に設けられているが、ただそれだけ。深和派にとって常時稼働しているような役職ではない。


 数は驚異的な力となる。


 時に数の差だけで圧倒的に埋め難い差ができ圧倒的な敗北を喫することもあるだろう。


 しかし、少人数にもメリットはある。

 腐敗防止だ。


 大きな組織になるほどに腐敗は避けられない。

 どんなに優れた人格者や指導者がいても端までは見渡せない。

 優秀な人で側近を固めても互いを監視し切れる人数は限られている。


 新興派閥であり、現在の最高派閥である、深和派は異常・異質でありながら、勢力を伸ばしていたのだ。

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