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昼と夜の交わり  作者: 泡沫
揺らぐ正義と人の陰
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一家惨殺事件1



 コトの発端は二週間前に遡る。



 二週間前、被害者自宅で発見された死体は見るも無惨な有様だった。仕事柄、多くの死体を見てきたし、解剖を見るのも仕事のうちだったりするのでそういうものに耐性はあった。しかしながら、これ程のものを見たことがなかった。それこそ遺族に見せることさえ躊躇われるような殺され方だった。まるで死んだ後も嬲り続けたかのようでこの犯人は狂っているとしか思えない。背筋が凍る。証拠隠滅にしてもこのような方法は取らないだろうに。


 死体は五人分。

 母と子供三人の死体を夜勤から帰ってきた父親が自宅で発見し、通報したのが事の発端。しかし、警察が到着した時には父親も殺されていた。

 死体は四肢分解されていたり、ある死体は、ぐちゃぐちゃに砕かれていたり、薬品のようなモノで溶かされていたりした。身体中に穴が空いている死体もあった。

 酷い、酷い。なぜこんなことができるのだろうか。何のために…!?


 捜査は進められるも、凶器の発見もままならなかった。

 父親の通報などから死亡推定時刻は絞られるも、父親も通報時点で犯人を目撃していないようだったし、周りの住民に事情聴取を行っても有力な情報は手に入らなかった。

 家族について知っている人から話を聞くも、強い動機を持つ人物は見つかっていない。

 最近の家には珍しく仏壇や破魔の矢などが丁寧に飾られているが、ごく一般的な家で、異常も見られない。


 わかったことなど、皆無に等しかった。


 強いて言うならば、嫉妬の感情を向けられやすい一家だったということだ。


 両親はそこまででもなかったが、子供は美男美女と言えるほど顔の造りがよく、グループなどの中心人物となるような子達だった。

 長女は学業優秀、長男は運動優秀、次男は文武両道という、輝かしい成績の持ち主たちだ。一生懸命に努力を重ね勝ち取ってきたものなのだろう。なかなか、できることではない。

 両親だって子供ほどではないが羨まれる部類の人間ではあった。

 父親は最難関国立大学を卒業しており、母親は難関私立大学卒業で看護師免許を持っている。今は専業主婦だが、近所のグループでも積極的に活動する人で学校の父母の会なんかでも代表を務めていたそうだ。

 父も有名企業に就職しており、出世街道まっしぐらだったそうだ。


 そうやって努力し、結果を掴み取ってきた人は嫉妬の対象にされがちだ。

 僻むくらいなら努力をすればいいと思う。

 そういった奴らが一番許せないのだ。

 いつだって悪くない真っ当な人が殺される。

 亡くなったのは悔やんでも悔やみきれない。


<次話>「一家惨殺事件2」同日投稿

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