解散
私は、姐さんを見、確認をする。
「これにて終了、解散ということでよろしいですか?」
私は姐さんと目線が近くなってドキッとする。近くで見るとより美しく優雅だ。
「構わぬ。貴様も気にせず行くといい。まだ仕事は残っているだろう?後始末は此方がやろう。」
姐さんの言う通り、私にはまだ仕事が残っている。そう言うことでお言葉に甘えることにした。
「有難う御座います。お言葉に甘えます。」
軽く会釈をしてその後の始末を頼む。
「もともと此方の仕事です。君が気にする必要はないよ。」
渓さんは無愛想に気遣いの言葉を掛けてくれた。
私だけに対する言葉だからか敬語が外れて、少し近づいたように思える。
会談の席では渓さんは姐さんの部下、私はいつも同伴する上司(風見)の部下ということでだいたい同列に扱ってもらうが、実際のところ、厳密には渓さんの方が目上なのだ。
仕事から少し離れると、後輩のように気にかけてくれる。まぁ、知らない人からしたら無表情なので冷たいだけに見えるかもしれないが。かなり優しい対応だと思う。
「梢さんも渓さんもこの人に甘くないですか?自分こんな扱いされたことないんですけど。」
左京と呼ばれていた人物が二人に対して不満気な顔して文句を言う。
言葉は軽く、本気の非難ではない事が伝わってくるが、ちょっと拗ねているようにも見える。大丈夫だろうか?
「妾はタチバナに甘くした覚えはないぞ。それに貴様に厳しくした覚えもないわ。」
「もともと彼女の仕事は奴らの処理の確認だけなんだ。君も仕事以上したらそうなるかもね。可能性でしかないけど。」
と、二人とも慣れたように対処する。これを見るに、意外と頻繁に起こる事なんだろう。そう思うとコントのように見えてきて、自然と口角が上がった。
頃合いだろう。
「ふふっ。それでは失礼します。ではまた。」
見送りのような目線を向けられて、私は目を閉じて意識を集中させた。
<次回> 「黒猫と歯車」 6月17日投稿予定




