黒幕
梢・渓・橘の三名はそれぞれの獲物を一箇所に集めた。
普段なら、すぐにでも始末しただろう。
しかし、今回そうしなかった。
三人はそれぞれ違和感を抱いていたのだ。
三人が考えを巡らせ、最初に口火を切ったのは渓だった。
「おかしいですね。」
「そうじゃのぅ。思った以上に弱すぎる。」
一呼吸おいて梢が続く。頭も、とそっと目を逸らしてつぶやいた。
その間、獲物たちは何も考えることもできずただ放置されていた。
「やはり裏の存在を考えるべきでしょうか。」
橘は全員が考えていたことを言語化する。その意見に残る二人も首肯した。
しばし、沈黙の時が流れる。
(必要なのは更なる情報、今回の事件に黒幕がいるなら同様の事件が起きかねない。
尋問すべきか...)
と橘が考えていると、梢が心を決めたように、発言する。
「左京を呼ぶ。渓。」
渓はすぐに返事をして手配を始めた。
そこで、梢は橘に端的に考えを説明する。
「妾は此奴らは有力な情報を持っていないと考える。いわば蜥蜴の尻尾切り、なんとなく煽ることで、あたかも自分たちで計画したかのように勘違いさせたのじゃろう。黒幕が手練れならば、事前に此奴らに何か工作を施しておいて、妾らが尋問のために連れ帰った時に逆に情報収集させるやもしれぬ。よって左京の能力で判断を確実にし、早めに始末をつけようと思うのじゃ。」
それに対して、橘は考えを巡らせて、肯定する。
橘も左京の能力については、界隈では有名なため、知るところだ。
「意見を聞いてそれが最良と愚考します。特諜局も左京さんについては知っているので十分な根拠になり得ると思います。この件の黒幕に対する対策についてはまた別の機会になると思います。警護社と特諜局両方に伝えておきますので、其方も、それに関する会談が行われるかもしれませんので認識だけは共有をお願いします。」
「わかっておる。芽は小さいうちに摘み取るのが定石じゃ。警戒をしておこう。」
そう話しているうちに件の左京が到着した。
<次回>「蛙の終わり」6月14日投稿予定




