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2 王様の願い。(いやいや、めっちゃ怪しいです)


 光が弱まり、目を開けるとそこは見知らぬ大聖堂だった。

 いや、大聖堂を見たこと無いからわからないんだけどね。


 みんなが転移されたのを理解し始め、騒ぎ出した。

 その間に俺はスマホを見る。

 ……圏外ですか。そうですよね。

 ニゴニゴが観れない。

 ヤンチューブが観れない。

 あまごんプライムも観れない。

 終わった、完全にアニメが観れなくなった。

 もうバグエルさんの実況も観れないのか。

 異世界転移とか他だの害悪だな。


「これは、異世界!遂に某のメインステージですな」

「…………」

「ここは、まさか……」

「知っているのか!?雷電!」

「しらん」

「こ、腰が!腰痛が治った!痛くないぞ!ふははは!我が封印が遂に解かれたぞ!」


 みんな、楽しそうだ(主に男子)。

 女子は放心状態が殆んどだな。

 女子同士で服を掴み合って固まってるけど、相手を逃がさないようにしてる行為じゃないよな?


 各々が事態の把握をしていると声が掛かる。


「勇者さま」

「ふっ、某は勇者ではなく忍でござる」

「我は勇者ではない。カオスティックマスターだ!」

「……?勇者さまの筈ですが?」


 あれだな、中二病患者はお口にチャックして貰わないと話が進まないな。


 他のクラスメイトたちが現状を知るために患者を取り押さえる。

 取り押さえられている間に担任の先生が話をし始めた。


 俺達を勇者と言った人は小柄な女性……いや、子供だよな?だった。

 先生がここは何処だのなんのイタズラなのか尋ねているが相手が子供なため要領が悪く何一つ理解できないでいた。

 すると子供は王様が待っているから着いてきてくださいと言い出した。

 子供は歩き出し、このままでは何もわからないので着いていくこととなった。


 歩くこと十数分。


 大きな扉が見えた。

 扉の前にはローブを纏った人が何人もいた。

 俺達が扉の前まで行くと大きな扉が左右にスライドして開き始める。


 いや、そういう開き方する?

 押すか引くかの開き方じゃないの?


 扉が全開した所で中に入っていく。

 すると、玉座に座っている人が見えた。

 きっとあれが王様という奴なのだろう。

 クラスメイトの何人かは興奮しまくりだ。


 王様まであと40メートルという所で止まった。

 俺達のサイドには剣を持った騎士かな?が何人もいる。

 何かしても、即座に護ったり殺したりする為なんだろうな。


「異世界の勇者達よ。どうかこの国を、この世界を救って貰いたい」


 王様は玉座に座ったまま、そう言った。


「待ってください。私達は普通の教師と学生です。勇者と呼ばれるような特別な人とは違います。どうか、私達を元の世界に帰しては貰えないでしょうか」


 先生が怯えるでもなく王様の言葉に返す。

 この先生、胆が据わってると思う。

 俺も帰りたいので帰してくれに一票したい。


「いや、召喚されたからには勇者なのだ。そして、すまぬ。我等では帰還させることは出来ぬのだ。帰還は神様しか出来ぬ」

「そんな無責任な……」


 先生と王様が話しを続けている中、ふと左右が気になった。

 先程までは騎士達しか居なかったが、扉の前にいたローブの人達が混ざっていた。

 そして、ローブ達はよく視線が移動していた。

 こういう場所では余り視線を動かすのは良くないのにだ。

 

 怪しいですね~。

 よく見ると紙とペンを持っていて何かを書いている。

 

 ピーンっと来ましたよ。


 思い付いた事が正しいのか確かめるために行動を起こす。

 団体の一番後ろまで移動し、不自然じゃない感じに後ろめに尻餅を着いて見る。

 クラスメイト達は気付かず、騎士達は微動だにしない。

 ローブの一人が俺を見る。いや、正確には俺の頭上を。

 俺を見ているローブに視線だけ送るが視線が合わない。

 やっぱり頭上の何かを見て書いている。


 剣と魔法のファンタジー世界だと仮定して、あの行為は何に当たるのか。

 答えは、ステータスの覗き見だろうなぁ。

 きっと鑑定か看破といったステータスを見るスキルか魔法があるのだろう。

 取り敢えず、今は怪しまれない程度に従順なフリをするに限る。


 立ち上がり、何事も無かったかのように団体の内部に隠れる。

 オタクや中二病患者はニコニコしているが、それ以外は嫌な顔をしている。


 そりゃそうだよな。

 いきなりこんな目に遭うとか、普通に拉致だもんな。


 話し合いは終わったのか王様と先生が喋らなくなった。


「みんな、よく聞いて。どうやら私達は私達が住んでいた世界とは違う世界に来たみたい。わからないよね。私もわからないの。どういう理屈でこうなるのか、どうして私達がこんな目に合わなければいけないのか。今すぐ帰りたい気持ちでいっぱいだろうけど、帰れないみたい」


 先生が王様と話して得た情報を共有している。

 異世界物のテンプレート的で嬉しいのかオタク達は満足したような顔だ。

 一方、そういうのが趣味じゃない方達はお怒りである。


「召喚された人は等しく勇者って呼ばれるらしいの。勇者は少なくても1つは特殊な能力、チート能力を持ってるって言ってたわ。ゲームみたいな話をされて馬鹿馬鹿しいけど私達は異世界に来てしまっているから信じるしかないわ。それでね、自分の能力を確認する方法があるみたい。ステータスって言えば目の前に現れるわ。因みに、ステータスを他人が盗み見ることは出来ないって言ってるわ」


 おや?

 盗み見る事が出来ない?

 それ嘘だよな、絶対。

 情報を過剰に出して、1つだけ嘘を入れても分かりづらいようにしているのかな?

 みんながステータスと言って、自分の能力を確かめてる。

 俺も見てみたいので少し…いや、かなり恥ずかしいが言う。


「ステータス」


 能力値を見てもどれだけ強いのかわからないから、スキルを探す。

 チート能力が1つはあるらしいが俺のはどんなチートなのだろう。

 えっと……これか?


「……ん?」


 スキル:《翼》


 あい きゃん のっと ふら~い。

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