【第1話】俺の叫びを聞け!
愛してる。
誰よりも。
心の底から愛してる。
言葉にするのは簡単で、
現に僕自身もこうして言葉にしているけれど、
この想いは本物です。
昨日、一昨日と、寝てません。
想いが溢れて、寝れてません。
ちなみに不眠症ではありません。
平均だと9時間くらいは毎日寝れています。
お気遣いなく。
こんな閉塞的な世界の中で、
あなたがくれた、あの回復アイテム。
瀕死の僕を助けてくれた戦場の中の一輪の花。
あの時、共通の敵を倒すという目的以上に感じた、
何か。
僕も最初は戸惑いました。
おいおい、いてぇよ。
なんだよこれ。
なんでこんなに・・
弾けそうなくらいに胸がいてぇんだよって。
そして、次の瞬間、
あなたのアバタ—の笑顔を見た時に確信しました。
そっか。
単純なことか。
これが・・
愛、なんだなってさ。
僕もこの世界では戦士として生きている人間です。
群れを拒み、唯一無二の存在として、
孤高の高見を目指している者です。
愛とか、恋とか、
これまで23年間は無縁に過ごしてきました。
しかし、偶然に偶然が重なってあなたと共闘することになり、
こうして一つの目的を達成した今、思うのです。
愛する者の為に闘う日々も悪くはない、と。
いや、あなたの愛の戦士として生きてみたい、と。
そう思ったのです。
最後に大切なことなので、ひとつだけ言わせて下さい。
このゲームを運営している方々へ。
どうかお願いですから、
nekomimiさんへのチャット機能のブロックを外してください。
ここまでのメッセージを見ていただいたら、
彼女への想いが本気なことはわかると思います。
さすがに、わかると思います。
確かに僕のコメントに対して途中から彼女の反応が一切なかったので、
体調でも悪くしたのかな、大丈夫かな、と心配になり、
本当にちょっとだけしつこく27通ほど連続でメッセージを送り続けてしまったことは事実としてあります。
ありますが。
それは、それです。
大切なことなのでもう一度言いますが、
それは、それです。
悪意はありません。
この想いをどうにか運営様の力を借りて、nekomimiさんにお伝えいただきたい。
お願いします。
今月も、僕、結構このゲームに課金してます。
と最後の文字をキーボードに叩き、エンターキーを押して問い合わせメールを送信した。
あー疲れた。
指を組み体を上に伸ばしながら二回、三回と首を鳴らす。
これで何かしらの返答を待つとしよう。
文章を書くことに没頭してたから、腹減ってたのも忘れてたわ。
閉めっぱなしのカーテンの裾から明かりが漏れてるのを見て、今が朝なんだと初めて気付く。
どうりで眠いわけだな。
まぁ、それもいつものことか、と欠伸を噛み締めながら台所へと向かう。
部屋の襖を開けると、テーブルの上にはさつまいもとバームクーヘンのみ。
うむ。
唾液、死んじゃう。
砂漠寄りの口内コンディション考慮し、即却下してその足で冷蔵庫の扉を開くと、
昼用、夜用と書かれた紙が乗ったお皿がラップに包まれて置かれていた。
じゃあ、まずは昼のやつからだな。
うむ。
パンケーキ。
ちょっと期待しながら夜用と書かれた紙の下も一応、確認。
パンケーキ。
なるほど。
受け入れましょう。
ニートが贅沢は言えんのですよ。