第3章 23「俺はきっとシャドーサイド」
身体から血が抜けていく…
しかし、それと同時に何かが身体の中に流れ込んでくる。
それは冷たく、ドロドロとしていて、血液の代わりに循環しているのを感じる。
サドルカの剣を刺された瞬間から目の前がはっきりしない。今目が開いているのか閉じているのかすらハッキリとはしない。
そしてどれくらい経ったときだろう…血が流れ出るのが止まったのを感じた。
冷たいドロドロと血が一緒に流れている。
「……………………」
誰か助けて。と、叫ぼうとした。
しかし、その声は声にはならず喉元で消えていった。
身体がコントロールできない。どれだけ動かそうとしても言うことを聞いてくれない。
まるで自分の身体の意思決定権を奪われてしまったようだ。
一体何がどうなってしまっているのか…
真っ暗で無感覚、声も出ない…
人間はそのような状態だと精神不安定で死ぬみたいな話も聞いたことがある。
それを思い浮かべた瞬間、背中が震えるのを感じた。
考えなきゃ良かった…
軽い後悔を残しつつも現状は考えることしか出来ない。
今にも泣いてしまいそうだ…
サドルカの剣…闇の神、サドルカが封じ込められたとされる剣だ。
そして俺たちが『影』になる原因と予想していた剣でもある。
その本丸に刺されたのか…
なんだか自分の現状を理解できた気がした。
魔族の郷で出会った青年は握手しただけで『影』になってしまったのだ。それがあの剣本体となればきっと…
『影』になっているのだろうな
一つの結論に至った瞬間、後悔に苛まれた。
あの時、ミッダに言われた通り背後から気をつけて走っていれば…
あの時、ミッダと共に戦っていれば…
だが、今からそのようなことを考えても仕方がない。起こってしまったのだから受け入れないと。
頭でわかっていても心が理解してくれない。
今現在、俺の予想が正しければ俺は『影』となってみなさんに絶賛迷惑をかけていることになる。
果てしなく嫌だ…
戻ったらみんなに謝らないと、とは思うものの元に戻る目処は立っていない。
今はまだ考えることが残っているから精神を保っていれているがなくなったらと思っているとそれだけで気に病まれる。
これからどのくらいの時間、現状が続くのだろうか…
そんな何も無い空間で…いや、何も無い空間だからこそ一つ、たしかに一つだけ何か感じる。それが一体なんだったのか、どう言ったものなのかは一切わからない。
しかし、俺はそれを知っている。忘れているだけだ。
あぁ…なんだっけ…この温かいのは…




