第3章 21「黒の衝撃」
「なんでここに?」
俺のそんな質問に黒ローブは嘲笑を漏らしてから答えた。
「どうしてだと思う?」
そしてまた、嘲笑ってから言葉を放つ
「君は知りすぎたみたいだね…本当はもっとじっくりと…ゆっくりと…絶望しながら死んで欲しかったんだけどね…」
そう言う顔はフードで見えていないが嘲笑が消えているのは確かにわかる。俺は無意識に身体を強張らせ黒の大剣を二本にして握っていた。
「戦うの?いいよ…死ね」
漆黒のローブの下に隠れていた真っ黒い剣が迫ってくる。
「っく…」
二本の剣をクロスさせ受けるが、炎の加速ありでもジワジワとにじり寄ってくる。
このままじゃ…
そう思った時、俺と黒ローブの間を割って入る風が吹き抜けた。
「おいマサキ!何してんだ」
俺たちの間に入ったその声の主は今日まで見回りをミッダと共にお願いしていた人…否、鬼の飛鬼だ。
「今は逃げろ‼︎」
飛鬼は俺が反論するのを待たずに刀を持って黒ローブに斬りにかかった。しかし、その刀は黒ローブには届かずローブから出てきた左手によって止められている。
「みんな弱すぎ」
「ぐ、く…うおおぉぉぉ‼︎」
雄叫びを上げ、渾身の力を込める飛鬼の剣はまるで岩に当たっているかのごとく動かない。
「うるさいんだよ」
黒ローブのキックが飛鬼の腹に決まり、俺の横をすり抜け遥か遠くに飛ばされた。
「飛鬼さん‼︎」
「よそ見すんな‼︎」
そう言われ振り向くと今度はミッダと黒ローブが剣を交えている。こうしてミッダの剣をじっくり見れるのは初めてだ。身体から緑色の電気のようなものがたまにスパークしている。いったいどの属性なのだろうか?
純粋な疑問を頭を振っておいやり、現状を見ると流石というとこだろうミッダが少しだけ優勢に見える。
「ミッダさん!」
「さっさと逃げろチビ!」
でも、と言う前にミッダが言葉を繋げた。
「飛鬼はお前を逃がすためにやられたんだぞ!」
その言葉に激しく揺らいだ。
今ここで俺がミッダと共に黒ローブを倒しにかかれば倒せるかもしれない。
しかし、ミッダのお荷物になる可能性もある。現状の優勢を信じて逃げるべきなのだろうか…
「早く決めろ‼︎」
「あとはお願いします」
そう言って振り返って走ろうとしたとき、ミッダの怒声が耳に響き渡った。
「バカ!背中見せて走るな‼︎」
「え…?」
背中に大きな衝撃を受ける。
その衝撃は俺の体を貫通して左横腹から飛び出している。
衝撃の原因は先程まで黒ローブが握っていたはずのサドルカの剣。
「あ、あ…あ」
段々と力が抜け、いつしかうつ伏せになっていた。




