第3章 20「帰還」
「うっぷ…」
女性から飲まされた謎の液体によって、ユニアは今にもモノを吐き出しそうな顔で両頬を膨らませている。
「大丈夫?」
飲ませた本人はにこやかな顔で見守っている。
ユニアは無理矢理口に含んだ何かを喉に通し、少しだけ苦しげな表情をしてからこちらを向いた。
「治りました…治りましたよ!」
明るい表情を取り戻したユニアは女性に向かって深々と頭を下げた。
「ありがとうございます!助かりました」
「いえいえ、また来てくださいね」
はい!と俺とユニアは元気よく答え、ホプスを預けてある竜舎へと向かった。
「ホプス、帰るよ」
ユニアがホプスに話しかけていると、ミルドが俺たちの見送りに来てくれた。
「おつかれマサキ…ユニアさん治ったんだ」
「えぇまぁ…」
なかなかに辛そうでしたけどね。と言う言葉を飲み込み、竜にまたがるユニアの背中にくっついた。
「たのんだよ…」
短くそう呟くように伝えたその言葉にはいったいどのような意味が含まれていたのか?サドルカの剣のことなのか、この『影』のこと全体のことを言ってるのか?
まぁいい…どうせどっちも解決すべき問題だ。
魔族の郷を飛び立ち、サファラに着く頃にはもう夕方になっていた。途中、空中で襲撃してきた『影』だった女性にあったが彼女もまた記憶が欠落していた。彼女を手荒く扱わないよう町長に伝え、今に至る。
町へ出るといきなり巨漢に肩に手をかけられた。
「ようチビ魔法陣は作れそうか?」
そう聞くのは見回りを頼んでいた道場の親玉、ミッダだ。
「それが…」
つい言葉が詰まってしまった現状を察してミッダは一つため息をついた。
「まぁしゃあねぇよ。戦ってみてあの周りをワサワサしてる黒いオーラは倒した瞬間に消えちまう…捕獲は捕獲でむずいしな」
俺の無能さ無力さになんの追求もしてこない。
それでもわかったことはあった。
「ミッダさん。魔法陣は作れませんでしたが一つわかったことが…サドルカの剣が盗まれたそうです」
ミッダは一瞬目を見開いてこちらを見てからいつも通りの何か見通すような目に戻った。
「そうか」
「多分それが今回の件の原因なんじゃないかって、俺とミルドさんでは話してました」
「あぁその通りだよ」
いきなり背中から聞こえてきた第三者の声に俺とミッダは全く同じ方向を見いる。
いきなりの乱入者は黒いローブを身につけ、フードを深々と被っている。
「黒ローブ⁉︎」
嘘だ。歩いてくれば数日はかかるはずだ。それとも…何か他のやり方が?




