第3章 17「二日酔いなお連れさん」
「おはよう…ございます…マサキ様…」
俺にいつも通り優しく朝のあいさつをしてくれた女の子は
「大丈夫?」
途轍もなく気分が悪そうだった。
「はい…ただの二日酔いです…」
十六歳の少女から二日酔いというワードを聞く日が来るとは世界は広いな…いや色々あるなというコメントの方が適しているか。
「とりあえず、水でも飲めば?」
「そうさせてもらいます…」
現時刻は朝の七時、ユニアの症状がある程度回復したらサファラに戻ることにしよう。『影』について調べるはずが、結果あまり成果はなかった。
あったとすればサドルカの剣が奪われていた。ということぐらいだろうか。
「ユニア、朝ごはんはどうする?」
「あ…それなら、ここの宿の人がご馳走してくれるそうです」
「そっか、なんか悪いな」
少しの間、ユニアの経過を見守ったが
「朝ごはん…食べてきてください…」
と、促され渋々一人でここの宿主との朝食の場へと向かった。
「あら魔王様、おはようございます」
そう言うのはとても綺麗な大人の女性、艶のある黒髪を後ろにまとめ、顔に髪が垂れてこないようピンで留めている。エプロン姿がとても似合う女性だ。
「お、おはようございます」
「あら、お連れの方は?」
「それが…」
俺は現在ユニアが二日酔いで気分を悪くしていることを伝えた。
「それはまた」
すると彼女の背後からひょこっと小さな顔が二つ出てきた。
「お!この人が魔王様?全然見えないや」
「すんげぇ弱そう」
思い思いなことを口にする二人の少年の頭にげんこつが落ちた。
「すみません。ご無礼を」
「いえいえ、気にしないでください。お子さんですか?」
「えぇ双子なんです」
「そうなんですか」
もう少ししたら朝食ができますからと言われ、俺は双子の小さな手に両腕を掴まれた。おんぶしたり、馬になったり、それこそ魔王の神剣を見せろとまで言われた。もちろん見せなかったが。
その後、朝食の準備が出来たと呼ばれ四人で食卓を囲んだ。
出てきたのは普通の家庭料理。なんだか前世界を彷彿とさせる懐かしい味だった。
「ごちそうさまでした‼︎」
最大級の感謝を込めてその言葉を発し、俺はユニアの待つ部屋に戻った。
「大丈夫?」
「えぇさっきよりは楽になりました」
時刻は九時を回ったところだ。
「じゃあ十時半に帰ろうか」
「はい。了解です」
「無理しないでね」
「はい」
ユニアとの短い会話を済ませ、俺は残りの一時間半の間にミルドに会いに行くことにした。それと昨日倒した『影』だった五人のいる魔封じの牢獄にも…




