第3章 12「気絶からの」
「ん、ん…」
自分の身体が一定のリズムで揺れていることに気づいて目が覚めた。
「あ…起きた?」
その声の主は、今俺のことをおぶっているため顔は見えないがミルドの声だ。
「あ、すみません」
ミルドは軽くしゃがみ、降ろしてくれた。
「まさか両手離して頭から落っこちるとはね…」
クスクスと笑いながらそう言うミルド。普段あまり彼が笑うのを見たことがないが案外、普通に笑うものだ。もう少し嘲笑うように笑うと勝手に考えていた。
それにしてもユニアから手を離したところまでは覚えているのだが、まさか笑われるほど無様だったとは…
「目が覚めたのですね。頭は大丈夫ですか?」
後ろを歩いていたユニアが俺が目覚めたことに気づき、声をかけてくれた。
「あぁ…大丈夫。ユニア、頭大丈夫っていうのは場合によっては悪口だよ」
軽口でそう返答し、ユニアは安心したように笑った。
「その調子なら大丈夫そうですね」
「今はどこに向かってるの?」
「今は…『黒闇寺』に向かってるとこだよ」
黒闇寺…光明寺に剣として眠るアルムスと相対する闇の神、サドルカが剣とされ封印されているという寺だ。
「でもなんで?」
「『影』のことについてちょっと思うことがね…」
そう言ってミルドは俺たちを黒闇寺に案内して行った。
話を聞く限り、こちらの諸事情はユニアが一通り説明してくれたように思える。
「ここだよ…」
「え?」
ミルドに黒闇寺だと案内された場所は寺の右半分が壊れていて外からでも中が見える。
「どういうこと?」
「こないだ…襲撃にあったんだ」
「襲撃?」
「あれは丁度…」
そう言ってミルドはゆっくりと襲撃のことを話し始めた。
「王都に敵国が来たって…そう言われて俺がこの郷からいなかった時に起きたんだ。深夜、誰もが寝静まった深夜三時くらいかな…急に爆発みたいな音が聞こえたらしく…」
ミルドの話の重さを感じ、思わず息を飲む。
「この郷の人も急いでここに来たらしいんだけど…その時はすでにこうなってたらしい…」
「なんでそんなこと…」
そう言ってからすぐに気がついた。ここに眠る神の力、それを狙った犯行なのだと。
「サドルカの剣がなくなっていた…敵の狙いは恐らくそれだ…」
「サドルカの剣か…やっぱり『影』と何か関係が?」
「わからないけどね…可能性は高いと思うよ…」
気づくと陽は傾き、そろそろ夜が近づいていた。
「マサキ様。今日はもう遅いですし、夜の飛行中にまた『影』に襲われたら危険です。この郷のどこかで宿を借りませんか?」
「そうだね、そうしよう」
「では、早速行きましょう」
「ユニア、悪いんだけど先に宿探しててもらっていい?」
「なんでです?」
俺は少しだけ、何と言うか考えてから
「男同士で話したいことがあるんだ」
そう言ってユニアには席を外してもらった。




