第3章 11「寄り道を挟んで」
「私はこの町の町長を務めさせて頂いてる、ルライラという者です。この町には一体どんなご用件で?」
体格のいい男性、改めルライラは鼻の下にちょび髭があり顔のサイズと決して合っていないメガネを鼻にかけている。
「この町の牢獄を借りたいんですが…」
「ほう、牢獄ですか。その後ろに立っている女性でも監禁するのですか?」
彼の言う女性…俺には一瞬検討がつかなかった。何故なら牢獄にいれる女性は今、俺が抱きかかえているからだ。しかし、自分の後ろにいるという言葉で誰を意味するのかはっきりした。
「おい…それどういうことだ?」
ルライラの言う女性はユニアのことだ。彼女の金髪がきっと勘違いを招いたのだろう。勘違いだとしても俺には我慢ができなかった。
「…え?」
素っ頓狂な声でそう答えるルライラ。
「だから!…」
俺が怒りに任せ途中まで言葉を発した時、自分の服の裾を誰かが握っているのを感じた。そこで姿を消していた冷静さが戻ってくる。
「…いや、なんでもない」
そうだ。彼だって悪気があって言ったわけではないだろう。
「彼女は俺の連れだ。ここの牢獄は魔封じの魔法陣が貼ってある?」
「それはなんと無礼を働いたことか…」
俺の怒りの理由に気づいたルライラの腰は急に低くなった。
「気にしないでください。慣れてますから」
そう言って優しく微笑むユニア。
「それで魔法陣は?」
「あ、はい。一応あります」
「そっか、じゃあそこを貸してもらえる?」
「もちろんでございます」
ルライラに案内された牢獄に両手でお姫様抱っこしていた女性を入れ、事情を説明し決して開けないように念を入れる。
「じゃあ、後で彼女は迎えに来るから」
ユニアの背後からそう言って、また空の旅に出かけた。
ユニアの背中に密着しているため体温が直に伝わってくる。罪悪感を感じながらもその暖かさはなんとも言えない。空中での戦闘で体力を消耗したため思いのほか眠い。
あぁユニアの背中、あったかいな…
ほのかに彼女から香る匂いが俺を安心させる。
でも…流石に寝るわけには…
思いとは裏腹に意識はどんどん頭から離れていった。
「…マサキ様?」
「うあ…」
寝てしまった…
「ごめん。寝ちゃってた」
「いえ、お疲れなのはわかります。魔族の郷に着きましたよ?」
「え?」
気づくとホプスは地に足をつけ、待機している。
俺たちはまたもや多くの人に囲まれていた。
「あの…マサキ?」
そう言うのは相変わらず顔色の悪い…といってもこの郷の人々もか、共に戦場で戦った『樹』の神剣使い、ミルドだ。
「お久しぶりです」
ミルドや飛鬼は俺にタメ口で話すが、当の俺は彼らは年上であるなどのことを考慮して未だ敬語で話しいる。
「うん…久しぶり。相変わらずユニアさんと仲良しなのはいいんだけど…」
ミルドにそこまで言われてハッとした。俺の両腕は未だユニアの腰に回っていた。
「あ、えっと…うわ」
急いで手をほどき、両手を上にあげるとそのまま後頭部から地面に落下した。




