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第3章 9「内臓の浮遊感」

 昔から遊園地というものが嫌いだった。

 三半規管が弱いのでコーヒーカップに乗るとすぐによってしまうから。

 ジェットコースターの落ちるときの内臓が浮くような感覚が嫌いだったから。

 それでも上空何千メートルから飛び降りるよりかは随分マシなモノだったなと思う。

 ホプスの背中から飛び降りるとすぐに身体がまるで誰かに引っ張られるような感覚に襲われ、落下を始めた。

「っく…」

 風が強く、呼吸すらまともにできない状態ながらも黒の大剣を出した。

 柄を握り、自分の体重に剣の重量が増されたことで加速しているのを感じる。

「ぬぉ」

 剣から炎を出して身体を持ち上げる。その勢いで『影』に突撃してみたものの、サラッとかわされてしまった。

 そして地面に足をつけての減速や、壁に突き刺して無理やり止めることも出来ないこの大空では簡単には大剣は止められない。

「やっべ」

 手が汗ばんでそろそろ落ちてしまいそうだ。

「マサキ様!」

 後ろからユニアの声がしたと思うと、ユニアは俺に抱きついて自身の後ろへと退避させた。

「ごめん。助かった」

「いえ」

 ユニアは以前、前魔王が剣に乗って飛んでいたと話してくれた。その話が本当ならば、俺はこの剣の使い方を見誤ったのでは?

 俺はホプスと並走させるように炎を出し続けている大剣を見た。

 大剣を出来るだけ水平に…

「よし!」

 俺はユニアの肩を叩き

「また失敗したら助けてね」

 そう言って大剣に足をかけた。

「マサキ様、何を?」

「ちょっとやってみたいことがあって」

 俺は右手で大剣の柄を持ち、左手でバランスをとり、両足を大剣の上に乗せた。

「お、おぉ」

 思わずそんな言葉が出てしまった。

 今の姿はまるで西遊記に出てくる孫悟空が筋斗雲に乗るかのようだ。

「おっしゃ!」

 乗り物感覚になった大剣はなんとなくイメージがつきやすく、思いのほか操りやすい。

 そして、そのままホバリングしている『影』の元へ向かう。そこで一つの欠点に気がついた。

 アレ?武器なくない?

 今、俺が乗っているのは紛れもなく俺がこの世界に来てから愛用している炎の神剣だ。

 つまり現状、装備なしと同意義だ。

「ちょ、やっべ」

 急に焦り始め、冷静さがどこかへ飛んで行った。

「マサキ様、剣を二本に‼︎」

 二本?あ、この剣二本になるんだった。

 柄に左手を置き、剣を二本にする。

 先程まで少し余裕を持って乗っていた大剣が少しばかり心許無くなる。

「うおおお!」

 灼熱の炎が左手に掴む剣を包み込む。

『影』も攻撃態勢に入ったのか、黒いオーラで鋭い爪が巨大化していた。

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