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第3章 8「上空の戦い」

「そういえばあの女性は?」

 空を飛び始めて数十分が経過した頃、先日『影』に襲われていた女性のことが気にかかった。

「あぁ、あの人でしたら現在城で生活してもらっています。命を狙われてたわけですし、まだ『影』が無差別に反抗してるかもわからないので」

 俺が知らない間にユニアが色々と済ませてくれていたようだ。

「そっか、ありがとね」

「いえいえそんな」

 誰もいない二人だけの世界でそんな話をしていると、ドラゴンのホプスが低い声で唸り始めた。

 それは最初、風か何かの聞き間違いかとも思ったが確実にホプスから出ている声だった。

「敵…襲?」

「敵襲?でもなんでわかるの?」

「ドラゴンは近くにいる敵意のある生物を察知できるんです」

 なるほど、敵を察知のか。ならば敵襲を予告するのもわかる。

「でもなんで?ここは空だよ?」

 そう一番の疑問は俺たちの現在地。

 上空何千メートルというところにいるのだろう。手を伸ばせば雲にだって手が届きそうだ。

「私もそれが疑問なんです。こんな所に敵なんて…まさか同じ龍装兵⁉︎」

 ユニアの言う龍装兵はドラゴンとともに戦う兵士のことを言うそうだ。いくら異世界といえどドラゴンはそう多くいるものではないらしい。聞いた話ではこの国に十数人だとか。

「でも龍装兵だとしたら俺たちの仲間だろ?」

「裏切り者なんていつ出てきてもおかしくありませんから」

 裏切り者…あまり考えたくはないが今はそう考えるのが一番自然なのかもしれない。

 でも一体どこから来ると言うのだろう?

 周りを見渡しても人なんて見当たらない。

「周りに人なんて見当たらないけど」

「ならば一体どこに?」

 ユニアも見渡すが、結論は俺と同じようだった。

 一瞬、何か違和感を感じた。

 ドロドロとして、真っ黒い何か。

 頭上を覆っていた雲を抜けると俺の顔に影がかかっていることに気がついた。

 上を向くとそこには真っ黒い翼を生やした人間…否、『影』がいた。

「なんでもありかよ!」

「どうしました?」

「ユニア、敵意の正体は『影』だ。今俺たちの上にいる」

 敵意がある。つまり俺たちに気づいているということを意味しているのだろう。

 俺たちが気づいたことに気づいたのか『影』は急降下をし始め、俺たちと同じ高度まで降りてきた。

 ならばやることは一つ。戦うことのみだ。

 しかし、戦うにもここは青空の中。安定した地面などどこにもない。

 それでも多分、戦えないこともない。

「あぁクソぉ…バカ怖い」

 俺が思いついたことは成功しなきゃ自殺と同義だ。

「ふぅ…」

 呼吸を整え、自分に大丈夫だと言い聞かせる。

「マサキ様、何を?」

「ちょっとあいつ倒してくる」

「え?」

「んじゃ!」

 そう言って俺はホプスの背中から飛び降りた。


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