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第3章 3「影のように黒いやつ」

 学校でユニアのワンマン授業が数時間にわたって続き、やっと頭に入ったのは『エレクスタル』以外の敵国の名前五つくらいだった。

『プライア』『エリエル』『ドラッド』『グラム』の四カ国とこないだ攻め込んで来た『ルネラナ』だ。

 他にもユニアは色々な雑学やらなんやらを教えてくれたが、それらはほぼ全て右から入って左から出て行ってしまったので頭に残っているのはそれらのほんの残りカス。

 そしてもう夕方となり、クランを送った後、町を歩きながら城への帰路を辿っていた。

「んあー疲れたー」

 久々に何時間も机に拘束されていたため、まるで学生に戻ったような気分でそう呟いた。

「お疲れ様です」

 隣を歩く、教師ユニアはあまり疲れを顔に出さない。

 何気なく雑談をしていると、

「きゃー‼︎」

 どこからともなく叫び声が聞こえた。

「ユニア!」

 ユニアと顔を見合わせてから叫び声が聞こえた方向へ向かう。

 着いたのは人気もない薄暗い裏路地。

 そこには叫んだ主であろう若い女性と真っ黒な獣のようなモノがいた。

「『影』‼︎」

『影の獣』というのもまどろっこしくなり略称で『影』とそう呼んだ。

『影』は俺たちに気づくと急いで身体を影に沈み込ませる。

「させっかよ!」

『影』が逃亡を図っていることに気づき、黒の大剣を取り出して潜ろうとする影に投げつける。

「ッグオ」

『影』は足を地につけ、こちらと戦う姿勢になった。

「任せてください」

 ユニアは右手を前に出し、掌から炎の玉を『影』にぶつける。

「グ…」

『影』が怯み、動きが鈍っている間に、さっき投げた黒の大剣を取りに行く。

 大剣を炎の力で引き抜き、二本に割る。

「うおおぉ‼︎」

 炎で剣を加速させ、一気に『影』と距離を詰める。

『影』もこちらに気づき、行動を起こそうとしているが、

「遅い‼︎」

 その行動より先に俺の回転斬りがヒットし、『影』は力なく地面に倒れ、やがて人の姿へと戻っていった。

 しかし、ついこないだ捕虜のみんなを殺した『影』より明らかに…

「大したことないですね」

 ユニアがそう言った。

「こないだのやつより明らかに弱い」

 一体どういうことだ?

『影』が複数存在するということなのだろうか?

 それともこいつらは量産型なのだろうか?

 疑問はいくらでも出てくるが、今することそれではない。と、気持ちを切り替える。

「ユニア、とりあえずこの人を城に運ぼう」

「了解です」

「あとは…」

 俺は背後の女性に目をやった。

 彼女は腰を抜かし、ペタッと地面に座り込んでいる。

「念のため、一緒に来てもらってもいいですか?」

 そう聞くと彼女はコクコクと頷いた。

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