第2章 39「コレカラノコト」
「なぁユニア…俺は人から必要とされてるんだろうか?」
俺の言葉にユニアは唖然としている。
「はい?」
「いいや、忘れてくれ…」
「いえ、大丈夫です。あなたはちゃんと必要とされていますよ…もちろん」
彼女のその言葉は俺の身体の奥底にあるドロドロとした何かを少し、払拭してくれたような気がした。
「そっか…ありがとう」
「ありがとう…?今日なんか変です」
「そんなことないよ…さぁ朝食にしよう」
そう言ってユニアと食堂へ向かった。
「ねぇユニア、解決するべき問題はいっぱいあると思うんだけど…まず何からすれば良いと思う?」
朝食を食べながら、ユニアに対して少々重たい会話を切り出した。
「問題ですか?」
俺は口に含んでいたモノがあったため無言で頷いた。
「そうですね…何はともあれ外交関係ですね」
外交…というか好戦的な五カ国だかとエレクスタルという国をなんとかしないといけない。
こないだ来たのはそれらのほんの一部に過ぎない。
守っているだけでは始まらない。
ということなのだろうか?
「結局、俺らが求めてるのって和解だよね?」
「わかってくれるならそれに越したことはありませんが…」
俺はユニアとの意見の合致を知り、言葉を重ねる。
「じゃあとりあえず、近場の国から和解していこうか」
「簡単に言いますね…かれこれ何百年もこの膠着状態が続いているんですよ」
「でも、前の魔王とかはちゃんと話し合ったの?」
その俺の発言にユニアはハッとする。
「そいえば、皆さん血の気が多すぎて…」
「でしょ?」
今までの魔王に俺のような平和主義者はいなかったのだろう。
「きちんと話せばきっとわかってくれる」
「ダメだったら?」
ユニアの不安そうな表情に一瞬、言葉が詰まってしまう。
「戦うしかない?」
ユニアは無言で頷いた。
「ユニアがそう言うならきっとそうなんだろうな」
俺は皿に残っていたモノを口の中に掻き込み、水で流し込んだ。
「よし!」
「ちょ、ちょっと待って下さい」
ユニアは完食した俺を見て焦って口にモノを運ぶ。
「ユニア、そんなに一気に詰めたら喉詰まりを…」
俺の言葉の途中でユニアは真っ青な顔をしてこちらを見ている。
「言わんこっちゃない」
そう言って水を差し出した。
「さ、行こうか」
俺はそう言ってユニアとともに食堂を後にした。
次やることも決まり、『黒ローブ』などの多少の不安要素を残しながらも着々と平和に向かうための道を歩んでいる。と、信じている。
まだ朝のため今日できることはいっぱいありそうだ。