第2章 38「過去の俺は」
今まで何度も何度も挑戦した。
小学校の頃、頭が良かったから中学受験をした。
大好きだったゲームもアニメも控え、ほぼ毎日、深夜まで勉強するような日々を過ごした。
結果は失敗に終わった。
仕方ないと思った。俺よりも頭が良い人や努力した人がいるんだと…そう思って泣いた。
中学校の頃、入っていた部活の最後の大会。
一生懸命に努力した。
部活とは別に個人の練習にも励んだ。
それでも負けた。
仕方ないと思った。その日の俺には運が無かったのだと…そう思って泣いた。
最後の大会から間も無く、高校受験が訪れた。
少し自分の実力より高いところを目指した。
それでも届かない高さではなかった。
毎日のように学校から帰ってから塾にこもって勉強した。
なのに届かなかった。
仕方ないと思った。自分には縁がなかったのだと…そう思って泣いた。
高校の演劇のコンクール、照明として参加した。
何度も何度も自分の仕事を繰り返し確認した。
ミスも少なく、ほぼ成功と言える出来だった。
でも、みんなは他の人に夢中で俺のことには目もくれなかった。
仕方ないと思った。他人からしたら俺の成功など大した出来事ではなかったのだと…そう思って泣いた。
その時やっと自分で気づけた。
俺がいくら努力しても、いくら頑張ったとしても、それらに見合った結果は手に入らないことに…
誰かが俺の努力を認めてくれる。
それだけで俺は十分だったのに…
たった一言『頑張ったね』とでも言ってくれたなら俺は満足だったのに…
それなのに…それなのに…
……………………………………………………
そこで俺はハッと目が覚めた。
「あぁ…この夢か…」
自分の身にあった今までのことを振り返れと言わんばかりの夢だ。
はっきり言って思い出したくもない。
努力をしても報われない。
そんな日々…
アニメや漫画のヒーローはいつもこう言う。
『努力は裏切らない』
まるで俺の人生を否定するようなこの言葉が嫌いだった。
努力しても報われないことはある。
その事実を何度も体現した。
そして何度も絶望した。
きっと次は上手くいく。
そう信じていたのはどれだけ昔のことだろうか?
俺は一体何を求めて生きていたのだろう…
物思いに耽っているとドアがいきなり開かれた。
「マサキ様!朝ですよって、もう起きてるんですね」
入って来たのは金髪の少女、ユニアだ。
「あぁ…うん」
「あまり元気がないですね…」
落ち込む要素ならいくらでもある。
自分のせいで何十人もの人が死んだり、自分の努力は認められなかったり…
目の前の少女にこのことを全て話すことができたなら俺の心はどれだけ軽くなるだろう。
「いや、なんでもないよ」
そう言っていつも通りに笑った…笑ったつもりになっていただけかもしれない。
その判断は俺にはできなかった。




