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第2章 34「アニメ剣術」

「ユニア?なんで、ここに?」

 ユニアは牢獄の外にいるはず…

 なんで?

「じ、実は…」

 声も、仕草も全てユニアそのものだ。

 まさか本当にユニアが『影の獣』なのか?

「実は魔王様に話さないといけないことが…」

 その言葉を聞いた瞬間、俺の背筋に何か冷たいものが走った。

 こいつは違う。ユニアじゃない。偽物だ。

 そう思って、脱力していた手にまた力を入れる。

「アレ?騙せると思ったんだけどな」

 俺がユニア本人じゃないことに見抜いたことを意外に思ったらしい。

「甘いんだよ…でも、どこからどうみてもユニアそのものだった。お前、相当凄い魔術師かなんかだろ?」

 そう言うとユニアから『影の獣』の姿に戻った。

「そうさ、確かに相当凄い魔術師だよ。この国でトップクラスのな」

 俺は剣をきつく握りしめた。

「良いこと教えてやる…ユニアは俺のことマサキって呼ぶんだよ!」

 そう言って斬りにかかった。体力の底はもう近い。

 畜生、このままじゃ体力が先に尽き果ててしまう。

 こいつになくて、俺にある何か…

 確実に俺の元に蓄積されている何か…

 アレ?

 今まで剣の動きをイメージしてから加速していた剣が、相手の攻撃を見るだけで加速するようになっている。

 無意識のうちにイメージしなくてもできるようになったのだろうか?

 イメージ…イメージ…

 この世界になくて、前の世界にあったもの。

「っあ!」

 そこで一つの可能性に辿り着いた。

 それをすることができれば、きっと俺の剣技のレベルはいくつも上昇するだろう。

 試すだけの価値はきっとある。

 爪と剣を重ならせる。

 単純な力勝負なら勝てるはずないが、炎の加速により、相手をノックバックさせる。

「今だ‼︎」

 先程、思いついた作戦。

 前世界にあってこの世界にないもの、アニメだ。

 日本が世界に誇るエンターテイメント。

 アニメの剣技を真似する。

 その中の一つ…とっさに頭をよぎった、その剣技を使う。

 アニメの中で存在したその剣技は五連撃。

 アニメのシーンを脳内で再生し、その連撃を理解する。

 まずは左、次に右、そして右の剣を横薙ぎにし、左の剣を振り上げる。

 最後に一回転して二本の剣で肩から切り落とす。

「っぐは‼︎」

 即興な割に上手くやることができた。

『獣』…いや変身する力もなくなったのか、相手は人間の姿に戻っている。

 相手は黒髪を女性のように長く伸ばしている青年。

 身体には先程の連撃の傷が生々しく刻まれている。

「っぐは…ち、くしょ…今のは…な、て名前だ?」

 彼が聞いているのは俺が今放った連撃の名前だろう。

「さあね、覚えてないよ。なんせ違う世界の剣技だからね」

「ち、がう世界…?おもしろい…はは」

 相手は傷のせいか上手く言葉を発せていない。

「さ、ユニア達を呼んで来る。ちゃんと罪を償ってもらうからね」

 そう言って俺は牢獄から出て、ユニア達の元へ向かった。

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