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第2章 33「俺と獣の違い」

 戦闘が再開され、幾度となく俺の身体には刃が通りそうになった。

 それを毎回ギリギリのところでかわし、お互いそろそろ決着をつけたいところだろう。

 しかし、剣は左手に握った一本のみ。

 未だ手数じゃあちらが上だ。

 もう一本の剣は刺さったままだ。取りに行く隙がない。

 どうしたら…

「ユウラ‼︎」

 そう叫ぶのはロウネだった。

 見るとユウラの腕からは大量の血が漏れ出ている。

 出血の箇所はそこだけではない。

 先ほどの『獣』との戦いの傷もそうだ。

「っち…」

 俺は牢獄の入り口に近づき、剣に炎を纏わせた。

 牢獄の鉄格子の上下を斬り、人が通れるだけの隙間を作る。

「早くユウラを…」

 俺がそう言うとロウネはユウラを背負い、出て行こうとした。

 それを止めんとばかりに『獣』が迫り寄ってくる。

「行かせっかよ」

 俺は『獣』を殺しにかかる勢いで剣を振るった。

 見事に受け止められたが、ユウラとロウネを逃すことに成功した。

「何してくれたんだよ!」

 競り合っていた『獣』の力が増した。

「っぐあ」

『獣』に押し返され鉄格子に激突した。

「さっきから剣一本でよく耐えてるなぁ…褒めてやるよ。でもそれもここまでだ!」

『獣』の爪がこちらに迫ってくる。

 何か…何かないか…

 右手で辺りを探ってみると何か棒のようなモノにぶつかった。

 これって!

 いそいでそれを握り、爪に追いつかせる。

「あっぶね…」

 危機一髪だった。

 俺の近くにはさっき投げた黒の剣のもう一本が刺さっていたのだ。

「ッチ…」

 舌打ちしてから『獣』は俺との距離を取った。

「大人しく、罪を償え」

 そう言うと『獣』は

「剣が一本増えただけで余裕だな!」

 と、言ってまた突っ込んできた。

 身構え、飛んできた爪を受ける。

 毎度の連撃だが、剣が二本になったことで受けるのに余裕が生まれた。

 全て炎の加速があってこそだが、それでも受けきれそうだ。

 何か勝てるイメージが欲しい。

 そう思いながら相手の爪を受ける。

 守ることは出来ても中々攻めに転じれない。

 先程のように距離を取ることも出来ない今、一体俺はどうしたら…

 ユニア達が来てくれるのを待つか?

 いや、彼女らは来たらこの『影の獣』が姿を消すことを知っている。

 増援は望めない。

 俺にあって、奴にないものは一体なんだ?

 考えろ!なんでもいい…思いつくものを上げていけ!

 えーっと、えーっと…

 俺が考え事をしていると『獣』の動きが止まった。

「な、なんで…?」

 俺の目の前には『影の獣』がいたはずだ。

「なんでここに…」

 そこにいたのはこの世界に来てから幾度となく俺を助け、俺を支え、俺と共にいてくれた。

「ユニアがいるんだ⁉︎」

 そこに立っていたのは金髪の少女、ユニアだった。


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