第2章 25「敵との信頼」
光明寺からの帰路、敵国の人たちの顔には迷いが滲み出ているような、そんな気がした。
彼らは俺たちを憎んでるだろうか?
考えてからそれは愚問だと気がついた。
この国の人たちが他国人を憎んでいるようにあちらも然りなのだろう。
きっとこの世界ごと平和にしてあの人たちを元の国へ帰す。
そう決意した。
帰ってからユニアに今日のことを沢山話した。
ユニアは
「きっと彼らもマサキ様を少しは信じる気になりましたよ」
と、笑って言ってくれた。
次の日の朝、俺はまた観光の誘いをしようと牢獄に向かった。
「おっはよ!」
俺が元気よくあいさつしてもまた全員に受け流されてしまった。
しかし、昨日より様子が変な気がした。
それが恐怖の感情だと、一人の身体を見て把握した。
それは鋭い目つきが印象的な筋肉がしっかりと付いた少年。
昨日、俺たちと観光した一人だ。
「ちょっと来て…」
俺はその少年に手招きをした。
少年の右目は黒く落ち窪み、至る所に青あざが見える。
「誰にやられた…」
「違うんですよ、魔王様」
そう口を挟んで来たのは見張り役の青年。
顔が心配になるほど白いのを見ると魔族だろうか?
身体に銀色の鎧を纏い、ガチャガチャと音を鳴らして近寄って来る。
「違うって何が?」
「彼はただ、派手に転んじゃっただけなんですよ。そうだよね?」
彼は何か威圧的な笑顔で少年の方を見た。
それに対し、少年は首を縦に振った。
「ほら、だから安心してくださいよ」
不自然な笑顔でそう言われ、更に心配になる。
「本当に転んだの?」
俺がそう聞いても少年は首を縦に振る。
「そっか…」
少年がそう言うのであれば信じなければならない。
そうしなければ俺と彼らの信頼がなくなってしまう。
「何かあったら言ってね?絶対君の助けになるからさ」
少年は少し口を開き、何か言おうとしたがすぐにまた口を閉じてしまった。
「じゃあ行きたいぞって人!」
昨日と同じ調子で話しかけてみると、数人、挙手してくれる人が見えた。
「おぉ!じゃあ行くか‼︎」
昨日のお昼代で財布が軽くなっていたため、今日は昼過ぎに集まることにした。
「じゃあ、君らと…」
最初に挙手してくれた七人と、
「一緒に行こう」
そう言って鋭い目つきの少年にも声をかけた。
少年は少し嬉しそうな顔で笑うと、こちらに歩み寄って来た。
「どんなところに行きたい?」
そう聞いても無反応、特に反応は無い。
「じゃあ昨日みたく光明寺に行くか」
そこでまた飛鬼とかに歴史の話をしてもらえれば面白いのでは?と、思い、また光明寺に向かうことにした。
それにあの少年にアザのことも聞きたいし…
そう考え、飛鬼とミルドが待つ場所へ向かった。




