表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/316

第1章 4「庭園での特訓」

 ユニアに引っ張られて着いたのは見晴らしの良い大きな庭園だった。

「おぉすげぇいい景色だ!」

 下を見ると人々が暮らしているのがよく見える。色々な種族の人が何事もないかのように生活している。今まで見たことがない非日常的な光景だ。

「マサキ様、遊んでる暇はありません。早く特訓を始めますよ。闘技会は一週間後です。時間がありません」

「い、一週間後⁉︎じゃあほとんど時間ないじゃないか!」

「だから早く始めようと言っているのです」

 ユニアが腰にぶら下げているレイピアを抜いた。

「さぁ構えて下さい」

「構えろと言われても…」

「そうでしたね。マサキ様の武器は魔王が代々受け継いで来た大剣です。出し方はよく知りませんが、さっき着けて頂いた首飾りにはその大剣を呼び出す力があると聞いています」

 大剣?アレ?どっかで見たような…

「あ!」

「どうしました?」

「大剣ってもしかして黒っぽいアレのことかな?」

「黒…そうです。魔王の使う大剣は黒です。でもなんで…」

「なんでと言われても…さっき偶然…」

 さっきトイレで気張って下のと一緒に出てきました。なんて言えない。

「まぁでもちょっとやってみる」

 気張り始めるとさっきは気づかなかったが首飾りが淡く光っていた。

 そしてッザクと地面に剣が突き刺さった。

「これかなぁ?」

「そうです!これです!流石魔王様!」

 ユニアはとてもキラキラした目で大剣を見ている。

「さぁでは特訓を始めましょう!」

「でもこれ持てないんだよね…」

「…え?」

「持てないんです。重すぎて」

「そ、そうなんですか」

 剣の柄の部分を掴みなんとか持ち上げようとしたがピクリともしない。

「ね?」

「ね?じゃあないですよ!ヤバイですよ!本当に!」

「すみません…」

「はぁ、まぁいいです。剣が出せただけ良かったと考えましょう。それよりお腹が空きましたね。朝から何も口にしていませんでしたし、お昼にしましょう」

 ユニアは溜息のあと優しく微笑んでそう言った。

「う、うん。そうだね…」

 ずっとお腹が空いていたのに自分が情けなく感じ、心からは喜ばなかった。

「では食堂に向かいましょう。案内しますね」

 食堂に着くとそこには多くの人が食事をしていたが、ユニアと食堂に入ると食事をしていた人達が一斉にこちらを向いた。

 あ、ヤバイ…

 本能的にそう感じた。

 それもそうださっきあれほどヤジを飛ばされたのだから。少し怯えながらユニアの後ろをついて行くと3人の男に絡まれた。

 その中でも一番体の大きな男がユニアに

「おいおいユニア、魔王様のお守りは大変そうだなぁ。こんなちっこいやつが魔王なんてなぁ」

 その発言に後ろの2人はクスクスと笑っている。

 当のユニアは

「おばちゃん日替わり定食を二人前お願い」

 まったく話を聞いていなかった。

「無視かよこいつ。ッチ、調子乗ってんじゃねぇよ‼︎」

 男はユニアに対して怒鳴り散らしてきた。

「さっきからうるさいんだよ。飯ぐらいゆっくり食わせろやゴラァ」

 野太い声の大男が言った。

 この声どこかで…

「っげ、ミッダさん。すみません」

 男が急に弱腰になった。

「わかったならいい。おいチビ魔王。てめぇも気をつけろ」

「っえ?あ、はい」

 何故に俺だ?

 ミッダが去ると三人組はそそくさと退散していった。

「マサキ様これ一個持って下さい」

「あ、うん。今行く」

 異世界の食べ物だから少し心配していたがそんな割と普通な食事が出てきた。

「ガッカリ様な、嬉しい様な…」

「ん?何か言いました?」

「いえいえ、なんでも…」

 料理自体は全然美味しいものだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ