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第2章 21「三位一体の攻撃」

「おお!生きてたか」

 安心したようにこちらへ目をそらす飛鬼。

「すみません。おまたせしました」

 二人に軽く謝罪し、また剣を出す。

 先程からあまり攻撃が通っていないようで黒塗りのフォルムはほとんどそのまんまだ。

「ダメージが入らない…」

 呟くようにミルドがそう言う。

 ダメージが入らなくても攻略法はあるはずだ。

 AI…ロボット…弱点…故障?

 携帯電話やパソコンは何で故障していたっけ?

 想像を続けながら自分たちの装備を確認する。

『炎』と『嵐』と『樹』の神剣。

 この剣たちを使って勝利を導き出さないといけない。

 敵は『黒塗り』か…

 小学生のときの理科で黒は熱を吸収しやすいとかって聞いた気がする。

 熱…

 パソコンや携帯電話がオーバーヒートを起こして電源が落ちたなどの話を聞いたことがある。

「飛鬼さん!ミルドさん!少しだけ手伝ってください‼︎」

「お?」

「ん?」

 二人が一斉にこちらを向く、参戦してからまたこちらに標的が移ったため、俺はまた空を駆け回っている。

「ミルドさんこいつの動き止めてください!」

「オーケー了解…」

 ミルドは地面から手の形をした巨樹を生やし、自由自在に操って黒塗りの動きを止めた。

 黒塗りの足元で剣を地面に突き刺す。

「飛鬼さん!こいつ閉じ込めてください!」

「おうよ‼︎」

 飛鬼の一声が放たれた直後、周りに突風が吹きだした。

 剣を掴む手を緩めたら飛ばされそうだ。

「っく…」

 足を踏ん張り、身体中に力を入れる。

 これから自分がやろうとしているのはほぼ自殺行為だ。

 まだ試したことがないため成功するかもわからないし、最悪こちらの死に至る。

 あの黒塗りにオーバーヒートを起こさせ、機能を停止させる。

「うおおお!」

 剣全体から炎が出るイメージを作る。

 体力が限界を迎えるまで、放ち続ける。

 周りに炎が上がっているが神剣から出た炎だからだろう。熱さは感じない。

「ああああ‼︎」

 上にある黒塗りの巨大ロボットは熱によって一部が溶け始めている。

 それでもまだ、巨大な手の中でもがいている。

「まだだああ‼︎」

 薄れかける意識の尻尾を捕まえ、意識を保つ。

 黒塗りはいたるところから黒い煙を出し始めている。

 もうちょっと…あともうちょっと…

「ああああ‼︎」

 最後の力を振り絞り、炎を出す。

 頭の上で爆発音がする。

 黒塗りは動く気力がなくなったようで、巨樹の手の中に大人しく捕まっている。

「へへ…」

 炎の竜巻のど真ん中で体力の限界から目の前が暗転する。

 次に目覚めたのは自室のベッドの上だった。

「うぅ…」

 目を覚ました俺は窓から差し込むオレンジ色の光に目を向けた。

「夕方か…」

 ベッドの横で疲れたように眠り込むユニアがいる。

「ユニア、ユニア」

 そおっと肩を叩き、ユニアを起こす。

「目が覚めたのですね…良かったでふ」

 あくびをしながらユニアはそう言った。

「もう夕方ってことは半日以上寝てたのか」

「何言ってるんですか。マサキ様は三日三晩眠りっぱなしでしたよ?」

「三日も⁉︎」

 三日も何もせず寝ていたと思うと唖然としてしまう。

「なんで、そんな…」

「ことの重大さに気づいてないようですね」

 ユニアはそう呟き、俺が気を失った三日前の話をしてくれた。

 三日前、俺が黒塗りの巨大ロボットをオーバーヒートで倒した日。

 竜巻から炎が消えたことに気づいた飛鬼とミルドは竜巻を消したあと俺の元へ駆け寄ってくれたらしい。

 しかし、体力を全て使い切った俺はすでに虫の息、魔法による治療が何時間も行われた。

 やっとのことで通常まで戻った俺は自室のベッドで寝かされ、そのまま三日も眠っていたと、そういうことらしい。

「侵攻してきた国は?」

「追っ払いました。当分、攻めて来ることはないでしょう」

「良かった…」

 そっと胸を撫で下ろす。

「捕虜の人達は?」

「無事ですよ。ご安心ください」

「酷いことはしないようにみんなに伝えておいて」

「了解です」

 二人の間に沈黙の時間が流れる。

 あれからろくな話していなかったため、何を話したら良いのかよくわからなかった。



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